②
……ん?
さっき、なんか言っていたよね?
く……す、り?
これが……。
この忌々しい状態がなくなるのなら。
何でも飲むに決まっている。
起こしてー。
自分で飲むから。
……それが男に伝わるわけもなく……。
男は体を支えながら口元へと薬杯のようなものを押し当て、徐々にそれを傾
けた。
「……今日は抵抗なさらないのか?」
抵抗?
なんで?
毒じゃないなら拒む必要はないよね?
いや、毒だったらいやだけど。
動けない時点で拒否というのは無理っぽいし?
…というか毒でも拒絶できませんよ(泣)
「……さぁ、もう一つ……此方で終わりますから」
量としては多いほうだと思う。
3杯目に、なみなみと注がれた薬杯を見て。
白濁色の液体……。
うげ。
何か、毒といわれても頷ける様な色だった。
さっきは薄緑色の上になんか粘っこかったし。
もう、嫌だ。
払いのけようとして、自由に動かない腕に苛立つ。
薬を再び喉の奥に流し込まれる。
(くっ。)
男が微かに笑う。
……しかも、至極楽しそうに!
う~わ~ぁ~。
む~か~つ~く~。
笑うなぁ!
「御厭でしたか?ですが、体を動かすことが出来ぬでしょう?」
男は淡々と薬杯を傾け、中の液体をすべて流し終えると柔らかい布で口元を
拭い去った。
もういい。
降ろして。
……そう思ってにらみつけるけど、男がそれを判る訳もなくて。
背中にクッションのようなものを差し入れると、一旦姿を消した。
相変わらず体は動かせなかったけど、まぁ、そんなにすぐに効く薬はあんま
りないし。
でも、退屈。
ずっと天井ばっかり見るのも……ね。
……飽きるほどに待って(途中でちょっと寝たけど。……そうして起きたら
夢だった、とかだと良いなと思わなくもなかったけど、相変わらずの部屋で、
夢だという可能性が限りなくゼロに近くなっただけだった)……。
もうこないのではと思えるほど待った後。
男は大きめの盥を抱え戻ってきた。
お湯が入っているらしく、うっすらと湯気が立ち上っている。
何するんだろ?
盥をテーブルに下ろし、こっちを見た。
「汗を掻いておいでのようですから、御身体を拭きましょう」
い、いらない。
何が悲しくて異性に体を見せなきゃいけないんだ!
丁重に、断る。
断るから、触るなぁあああ!
あっちいけぇぇえええ!!
……とか思っても喋れるわけもなく。
「お召しかえもなさらなければ」
さっさと布団をずらすと、男は手馴れた様子で服を一枚、また一枚と剥いで行った。
下着一枚を除いてすべて取り去られた貧弱な体が剥き出しになる。
……というか。
ウン。
……トリップでもないかもね?
私、16歳で。
ついでに言うと女の子、だったわけで?
どう考えても、小学生の、しかも、男の子……って。
……ありえない。
いや、女の子……だと思いたいけど、あまりの胸のなさと……体つきから想像するに。
男の子……だ。
うぁ~。