⑫
転がり出たのはボールぐらいの大きさの石?だった。
「これは……最上級の魔鉱石ですね?」
「はい」
「私はアルメィダ国特使マリー・エリツィア・ラシャといいます。本名を秘
していた事、お許し下さい。つい先日、我がアルメィダ国で魔鉱石が大量に
発見されたのですが……」
「アルメィダ国の方でしたか」
「アルメィダは規模としては小国とも言える国ですが鉱石や魔鉱石の産出量
ではトップクラスの国のはず。新鉱山が見つかったこと、御喜び申し上げる」
ジーク……他国の情報なのに、やけに詳しいね?
「ありがとうございます。でも、そう喜べませんの」
「……喜べないとは?」
「隣国がその鉱山はガーラク国のものだと言い始めまて……」
「そうなの?」
「鉱山がある地方は建国以来わが国の領地ですわ」
「ふぅん」
「シャスタスルーシュ皇国といえばこの大陸随一の規模を誇る大国ですもの。
調律国として動いていただけないかと、図々しいお願いをだとは分かってお
りますが、お話だけでも聞いていただけないかと参りました」
「そっか~。ん~……でも、僕じゃ決定権ないし」
あ。
マリーがしょげた。
うーん。
「とりあえず皇帝陛下と宰相に聞いてみよっか?」
「は、はい。何卒お願い申し上げます」
今度はきらきらした目で見てる……。
……どっかで似たような反応を見てる気がする。
……うーん。
…………うーん?
……………………あ。
わかった。
シリルだ。
うん。
そっかぁ。
おじさんと同じなんだ、マリーの雰囲気。
……ワンコ気質。
「では、謁見をお求めに?」
「ん?」
「……殿下?」
「面倒だから呼ぶ」
「……御伝えして来ましょう」
カートが立ち上がって出て行った。
シリルだったら僕が「助けて」って言ったらどこからともなく沸いて
出てくる気がするだけど
台所に良く出るあいつ。
黒い物体Xみたいに……。
……あ。
変なこと考えたら鳥肌たった。
「リーナ、お茶の用意してくれる?」
「はい」
リーナがくすくすと笑いながら部屋から出る。
あ~早くシリルこないかぁ。