⑥
首都生活2日目―――……。
快晴です。
気持ちが良い位に晴れています。
カートがいないけれど。
えぇ。
昨日急にシリルから呼び戻されました。
中庭に植えた樹の調子が悪いということで。
中庭には主に私とカートとジークが実験的に植えた植物が多量にあり、普段
は庭師が管理しているけど、何かあればカートが呼び出されるのだ。
……まぁ、カートは好きでやってるからいいらしいけど。
度々人の補佐官連れて行かないで欲しい。
何のための補佐官なんだ。
ジークもいません。
いや、正確にはいるけど、いないというか。
いても動かないというか……。
……うん。
シ・カ・バ・ネ……です。
……普段は1~2時間ぐらいの睡眠で疲れ知らずなジークは。
飲んでいるときはザル?
ワク?
なにそれ美味しいの?……ってくらい平気なのに。
お酒を飲んで寝ている時に起こしに行くと大変なことになります……。
ええ。もお。素敵に。
最終世界壊滅兵器並みに、危険です。
一度だけ。
一度だけ、ですね?
急ぎの仕事で執務室に泊まりこんで仕事したときがあって。
ちょっと寒かったから……ブランデー入りの紅茶を飲んだのですよ。
私は美味しかったけどお酒入りなのであまり飲めずにジークが2杯飲んだか
な?その後疲れたので仮眠しようってなって。
私は執務室奥の寝室で、ジークは執務室のソファーで寝て。
その日の朝。
いつまでも来ないジークに痺れを切らしたシリルと宰相が部屋にはいって起
こそうとしたら。
心地よいくらいの低音の、やや掠れた声で。
適度に肌蹴たカッコウのジークが。
起こそうとした人に『私と一緒にいろ……』とか言って濃厚な
(技巧たっぷり、めろめろな)チューをしたらしく。
それを間近で見てしまったらしい、すっごく蒼褪めた宰相と
顔中真っ赤なシリルがいました。
そして。
「「二度とブリーゼ卿(こいつ)にアルコールを飲ませないように。どうして
も飲ませるときは、ブリーゼ卿(こいつ)が絶対起きてくるまで起こしに行
かないように(行くな)」」
……とだけ行ってふらふらと出て行って。
2日ほど仕事になりませんでした。
その後二度と、あのときのことは聞くなと言われています。
でもって本人は覚えていないので、寝ぼけたジークは危険物指定にされています。
昨日ほんのちょっぴりお酒を飲んだジークを起こすのをカートに頼んでいたのに
(心的外傷になるのを避けるために)。
頼みの綱が不在って。
……あああ。
無理やり飲ませなきゃ良かった