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 「ジーク、カートあれ何?あれ」

 市場は昼過ぎだというのに結構賑わっている。

 屋台の中の一つに思わず駆け寄ろうとしたけど手を握られていて出来なかった。

 「……さぁ」

 「良い匂いがしますね、ハル様」

 甘辛い、嗅覚に訴えているのは串に刺さったタレ付きの野菜や肉だ。

 肉の種類は不明だけれど。

「お~い~し~そ~ぉ~」

 わくわく。

 「あっちのも美味しそうだよねー」

 魚の焼ける香ばしい匂いが辺りに充満してる。

 1年ぶりの市場を歩く楽しさをカートは分かっているのかゆっくり歩いてく

れているというのに。

 ジークフリートはさっさと宿屋に着こうと素通りするばかりだ。

 「……宿に着けば軽い食事も出来ます。得体の知れないものなどお食べにな

 られないで下さい」

 「いいじゃないか、少しぐらい――……」

 じろり。

 一睨み。

 「……あ、あれ食べてみたい」

 「どれですかな?」

 「ほら、あそこの飴細工……」

 「ほぉ、確かに美しいですなぁ……」

 カートがそちらに視線を巡らせる。

 「ジーク、あれ食べ…「駄目です」……」

 「……」

 「……吝嗇けち

 「お腹を壊したらどうします。我慢なさってください」

 「あ、じゃあ。あっちの――……」

 「……ハロルド様」

 ぐっ。

 「まだ何も言ってないじゃんか」

 「毒見も出来ないのに軽々しく食べようとなさるのはお辞め下さい」

 うぅぅ……。

 一理ある……けど。

 一般向けに売っているものに何かあったらそれこそ屋台主の面目に係わるの

だ。そうそうおかしな物があるわけがない。

 「普通に売ってるんだから平気だって」

 「……」

 あ。

 無言で歩くスピードが一割増しになった。

 くっそぉ……。


 宿屋に着いて荷物を解く。

 ジークとカートは両隣の部屋だ。

 結局、買い食いは出来なかったなぁ。

 まぁ、歩き食べはどうかとは思うけれど。

 美味しそうだったなー。

 少しぐらい食べたかったのにな……。

 そんなことを考えているとお腹がなった。

 お昼を軽く済ませたのがいけなかったらしい。

 ……コンコン。

 扉を叩く音。

 「はい」

 因みに部屋には鍵がかかっているけど、ジークとカートは鍵を持っているの

で合図をしてから勝手に入ってくるように決めてあった。

 「入って宜しいですか?」

 「うん。いいよー、カート」

 ガチャっという音とともに扉が開かれる。

 「ブリーゼ様より言われ、これをお持ちしました」

 「何?何?」

 そういってカートが取り出したのはさっき屋台で見た飾り細工の飴だった。

 「え。いいの?」

 「はい」

 「ありがとー」

 「それと、軽い食事を後ほどお持ちするとのことです」

 う。

 そんなに分かりやすいのか?

 私ってば。

 ……まぁ、確かに。

 食べ物ばっかり目が行っていたけど。

ジークはやや毒殺などに敏感です(2年前のことがあるため)が

たまーに優しいです。カートが持ってきた飴細工も軽食が屋台風なのも

ジークが手配しました。


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