第十四章 永遠の謎
現在でも、この南国の離島は豊かな自然と美しい海、そしてのどかなサトウキビ畑とハイビスカスの花が咲く楽園として多くの人々に愛されている。アダン古道を歩けば、ガジュマルの木陰でヤドカリが遊び、遠くでクイナが鳴き、透明度の高い海では色とりどりの熱帯魚が泳いでいる。その風景は確かに楽園と呼ぶにふさわしい。
しかし、島の深部には「オランダ洞窟」の暗い影が今も潜んでいる。入り口の岩盤は一部が崩落し、事実上封鎖に近い状態になっているが、完全に塞がったわけではない。隙間から覗けば、奥へと続く暗黒の空間が確認できるという。そして、好奇心に駆られた者が、年に数回はその隙間をこじ開けようとすることがある。
だが、島の長老たちは、たとえ観光客や冒険好きの若者が訪れても、こう厳しく警告し続けている。
「オランダ洞窟だけは絶対に近づいてはならない。一度足を踏み入れれば、二度とこの世界に戻ってこられない」
実際、過去に何度も無謀な探険を試みようとした者が、原因不明の体調不良に見舞われたり、島を離れた後に不幸な事故に遭ったという話が絶えない。迷信と片付けることもできるが、島の人々にとってはそれが現実なのである。
台風の夜など、激しい風雨の音に混じって洞窟の方角から人を呼ぶ声が聞こえるという証言もある。闇の中でハイビスカスの花が異常に揺れ、ガジュマルの根元から冷たい風が吹き出すとき、そこには異界への扉が開いているのではないかと島の人々は信じている。




