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気象予報センターで働いていたら、有能な先輩に溺愛されました  作者: 双鶴


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第4話 ライブ配信直前、震える手と、支える声

翌日。

澪は、気象予報センターのスタジオ前で深呼吸を繰り返していた。


今日は、急遽決まった“ゲリラ豪雨の解説”のライブ配信。

新人の澪が担当することになったのは、昨夜の解析で正しい判断をしたからだ。


(……でも、私なんかが、本当に大丈夫かな)


手が震える。

胸が苦しいほど緊張している。


そのとき。


「白石」


背後から名前を呼ばれ、澪は振り返った。


黒川晴臣が立っていた。

いつも通り無表情なのに、どこか柔らかい気配をまとっている。


「緊張しているのか」


「……はい。すごく」


正直に言うと、黒川は一歩近づいた。

距離が近い。

深呼吸の音まで聞こえそうな距離。


「白石」


低い声が、耳に落ちる。


「君が解析したデータだ。君が一番、正しく伝えられる」


「……でも、噛んだり、間違えたりしたら……」


「そのときは、俺がフォローする」


澪は息を呑んだ。


「……黒川さんが?」


「当たり前だ。君を一人で立たせるつもりはない」


その言葉が胸に落ちた瞬間、

緊張で固まっていた心が、少しだけほどけた。


黒川は澪の手元に視線を落とす。


「震えているな」


「す、すみません……」


「謝る必要はない」


黒川はそっと、澪の手に触れた。

ほんの一瞬。

けれど、その温度が澪の心臓を強く打たせる。


「深呼吸だ。……ほら」


黒川が自分の呼吸に合わせて、ゆっくり息を吸う。

澪もそれに合わせる。


二人だけの静かな呼吸。

スタジオ前の緊張した空気の中で、そこだけ別の世界のようだった。


「……落ち着いたか」


「……はい。少し」


「白石」


黒川は澪の目をまっすぐ見つめた。


「君ならできる」


その一言が、胸の奥に深く刺さる。


スタッフが声をかける。


「白石さん、そろそろ入ります!」


澪は頷き、スタジオに向かおうとした。

その瞬間、背後から黒川の声が届く。


「……俺は、ここにいる」


振り返ると、黒川が静かに立っていた。

その存在だけで、心が強くなる。


澪はマイクを握りしめ、スタジオへと歩き出した。


──この日のライブ配信が、

彼女の自信を大きく変えることになるとは、

まだ知らない。


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