表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気象予報センターで働いていたら、有能な先輩に溺愛されました  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/20

第14話 暗闇の中で触れた腕と、聞こえた鼓動

その日の夜。

急な気圧変化の影響で、予報センターは夜勤体制に入っていた。


澪はまだ本調子ではなかったが、

黒川が「無理はさせない」と言ってくれたので、

彼と同じシフトに入ることになった。


(……黒川さんと二人きりの夜勤なんて)


胸が落ち着かない。


***


深夜1時。

センターは静まり返っていた。


黒川は複数のモデルを同時に走らせながら、

澪のデスクに近づいた。


「……無理はしていないか」


「だ、大丈夫です」


「大丈夫ではない顔だ」


黒川は澪の額に手を伸ばしかけ──

途中で止めた。


「……触れていいか」


澪の心臓が跳ねた。


「……はい」


黒川の指先が額に触れた瞬間、

澪の体温が一気に上がる。


「まだ熱がある」


「すみません……」


「謝るな」


黒川はいつものように言い、

澪の椅子の横に立った。


そのとき──


バンッ。


突然、センター全体が暗くなった。


「えっ……!」


停電だ。


非常灯がつくまでの数秒間、

完全な暗闇が訪れる。


その瞬間。


黒川の腕が澪の肩を強く抱き寄せた。


「動くな」


耳元で低い声が落ちる。


澪は驚きで息を呑んだ。


(ち、近い……!)


黒川の体温が背中に触れ、

腕がしっかりと澪を包み込んでいる。


暗闇の中、

黒川の鼓動がはっきりと聞こえた。


ドクン、ドクン──

いつもより速い。


(……黒川さん、緊張してる?)


非常灯が点くと、

黒川はゆっくりと腕を離した。


「……すまない。驚かせた」


「い、いえ……」


黒川は澪の肩に手を置いたまま、

真剣な目で見つめた。


「暗闇で、お前がどこにいるか分からなくなるのが……嫌だ」


澪の胸が熱くなる。


「黒川さん……」


「澪」


名前を呼ぶ声が、驚くほど優しい。


「……怖くなかったか」


「こ、怖かったですけど……

 黒川さんが抱き寄せてくれたから……大丈夫でした」


黒川は一瞬だけ目を伏せ、

そして澪の手をそっと取った。


「……良かった」


その声は、

安堵と、抑えきれない感情が混ざっていた。


澪は何も言えなかった。

ただ、黒川の手の温かさに胸が震えた。


非常灯の薄明かりの中、

二人の影が寄り添うように重なっていた。


──この夜、暗闇で触れた腕と鼓動は、

二人の距離を決定的に縮めていくことになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ