第七話 ローランド王子は悩んでいた
一方、王城の自室に引き籠もったローランド王子は、レイアが突然冷たくなって婚約破棄を告げてきたことについて、自分の言動に何か非があったのだろうかと思い悩んでいた。
晩餐会が始まるまで、おかしなことは何もなかった、と思う。彼女の気に入らないことをした覚えもないし、態度を悪くしたこともない。それとも、実はレイアにとって何か嫌なことがあって、彼女はそれを我慢し続けた末、爆発してしまったのだろうか?
(そうかもしれない⋯いやきっとそうだ、そうに違いない! でなければ説明がつかない。突然あんな態度になるなんて)
王子はできるだけレイアの様子を思い出そうと努めた。自分が側近のユーリと話しているときに彼女は突然ふらついて、倒れそうになったのだ。
(もしかして、あらぬことを疑われたのだろうか? 僕が、実は女でなく男が好きなんだと誤解されたとか?)
考えれば考えるほど、泥沼にはまってゆく。
(そう⋯⋯きっとそうだ! 僕とユーリが何かあると誤解されたんだ! 彼女の誤解を解かなければならない。こうしてはいられない)
王子はすっくと立ち上がって服を着替え、急いで近衛兵を叩き起こした。
「すまないが、急用だ! ティアブレイド家に行く。警護を頼む」
「えっ? 殿下、今からですか⋯?」
「グズグズしてはいられないのだ。ユーリを起こしてくれ、一緒に無実を証明せねばならない」
「はっ、かしこまりました⋯⋯しかし、無実というのは」
「今は説明している時間がない、急いでくれ!」
「は、はい」
そうして側近と近衛兵を連れた王子が馬に乗ってティアブレイド家に向かったが、夜道であったため、ほぼすれ違いになったレイアの姿にはまったく気がつかなかった。




