第四十九話 フレイラたちはダンジョンへ入った
暗い穴の中を照らしながら進んでいくと、やがて、遺跡のような、整えられた大きな場所に出た。いくつもの扉があり、床には罠が露出している。
「これは⋯ダンジョンね」
アルテミシアがつぶやくと、サーヤが答えた。
「そう。昔一度来たことがある」
「でも私たちが進んできたのは、盗賊団のアジトのはずでは⋯?」
フレイラが尋ねると、サーヤが少し振り向いた。
「ここは昔魔族が城を立てた場所。人間をおびき寄せて魔物の餌にするため、宝物をわざと置いて冒険者を捕らえて食べていた。でも冒険者にも強いやつがいて、魔族を倒して、城を破壊した。そのあと、そこには人間の貴族の屋敷が建てられた。貴族は地下牢をつくり、ダンジョンの入り口を塞いだ」
フレイラは感心した。
「すごい! 師匠、なんでもご存じなんですね」
サーヤはふうっとため息をついた。
「その冒険者のうちの一人があたしだからね」
「あっ⋯⋯(察し)」
フレイラはこの件についてはそれ以上聞かないことにした。何しろ齢五千年を超えるスーパーご長寿エルフ様だ。過去に何があってもおかしくないし、語るのも嫌だろう。
サーヤはその先も説明した。
「貴族の屋敷は人間同士の戦争で破壊されて、その後いろいろあって今は盗賊団のアジトになっている。だからこの地下牢の先のダンジョン、罠とか全部知ってるんだけど、誰かが24時間以内に通ってる」
「なんで時間までわかるんですか?」
「罠は発動したら24時間ですべてリセットされる。この状態になってからまだそれだけ経っていないということ」
「そうなんですね⋯」
フレイラは、ハッとした。
「牢にいたのが王子なら、この奥に進んだってことですよね? もしかして罠にかかって死んでたり⋯」
「罠を見て進んでいくしかないな」
ミレイが茶々を入れた。
「大丈夫。ミンチになってても蘇生はお前できるだろ」
「ミンチは見たくないですう!!」
フレイラは半泣きで抗議した。
「とにかく進むよ、邪魔なやつが来ないうちに」
サーヤの鶴の一声で、パーティーはダンジョンの奥へと進んでいった。




