第四十八話 サーヤは地下牢の穴に入った
盗賊団「鷹の羽」の下っ端の男から、思考を読み取って難なくアジトを突き止めたサーヤとフレイラだったが、目立たない近接戦闘はこの二人では難しいとサーヤが判断し、仲間の到着を待った。
アルテミシア・ルティシア・ミレイ・ヌルの四人は、サーヤとフレイラを見失うことなく白馬とほろ馬車を寄せた。ほろ馬車の御者にアルテミシアが銅貨を払うと、御者が少し自分の馬に水を飲ませたあと、ほろ馬車はリルム村へ戻る道を走り去っていった。
「サーヤ殿、ここからどうするつもりですか?」
ルティシアが尋ねると、サーヤは、
「手当たり次第心を読んで進むわ。ルティシアは防御を徹底して。ミレイは攻撃して来たやつを全部殴って。死なない程度に」
と表情も変えずに言いのけた。それを聞いてフレイラは、
「もう少し穏便に済ます方法はないんですか?」
と尋ねたが、
「かったるいことは嫌い」
と一蹴された。
「二つ目の案としては、あたしが魔法で建物全部破壊して異空間に瓦礫を吹っ飛ばすというのがあるけど」
「一つ目の案でいいです!」
フレイラは滝汗流しながら言った。
そしてサーヤの策通りに事は進んだ。ルティシアが防御壁を張り、フレイラとサーヤが「鷹の羽」のアジトにいた盗賊たちの心を読み、ときには「ローランド王子が居る場所、あなた知ってる?」などの質問を挟みながら進んでいった。
ミレイは邪魔しにかかってきた男たちを次々とデコピンで数メートル吹っ飛ばし、
「まあ、本気で殴るわけにもいかないしな」
とボヤいた。
やがて、パーティーは地下牢にたどり着いた。イメージで読み取った通りの場所のはずだが、王子はいない。そして、牢の扉は開かれており、牢番らしき男が気絶していた。
フレイラが回復魔法をかけて牢番を起こすと、意識を取り戻した牢番は、
「あ、あいつら! 俺に何をしやがったんだ⋯!!」
と言いながら震え始めた。
「何があったの?」
アルテミシアが尋ねると、男はガタガタ震えながら、
「わ、わかんねえ、突然頭の中に声がして、鍵を開けろ鍵を開けろって⋯⋯体が勝手に動いて⋯⋯」
と答えた。
「ふーん、精神感応系の魔法かな? でもなんだろ、この人の記憶の中では、牢の中に二人いたみたい」
「二人⋯?」
そして気づくと、地下牢の廊下の先に、何か大きな破壊の痕跡があり、男はその先を指さした。
「あ、あそこに入っていったんだ! それを見たら、見たあとは⋯なんにも覚えてねえんだ、本当なんだよ!!」
サーヤが男に微笑みかけた。
「教えてくれてありがとう。少し休んでおきな」
サーヤの瞳がキラリと光り、男はまた気絶した。
「さて、この先はちょっと厄介そうだけど、行ってみるかな」
サーヤはそう言いながら、杖の先を光らせて穴の中を照らし、真っ先にそこへ入っていった。




