第四十七話 フレイラたちはダイセスへ着いた
その頃、ほろ馬車を無事に借りて、愛馬に跨がったルティシアとともにダイセスに向かっていたフレイラたちは、道行く人々の心を盗み読みしながら、盗賊団『鷹の羽』のメンバーを探していた。ほぼローラー作戦である。
ヌルも人の心が読めるのか、行き先や目的を説明せずとも理解しているようであった。
「なかなかヒットしねえな」
ミレイがつぶやくと、アルテミシアが返事をした。
「ダイセスまで、まだもう少し距離があるし、街に着いたら見つかる確率も上がるでしょうね」
「ちぇっ⋯退屈」
サーヤが杖をミレイに向けた。
「つまんないなら、面白くしよう。どっちが早く盗賊団メンバーを見つけられるか、勝負」
「勝ったら何をくれるんだ?」
「出せるものなら、なんでも」
「ほぉ⋯」
ミレイの赤い瞳がきらりと光った。彼女は、さっと身を翻してほろ馬車のほろの上にのぼり、魔法の感知範囲を広げるべく目を閉じた。
ところがその瞬間、サーヤがつぶやいた。
「見つけた」
「ええ〜?! ずりぃよ!!」
「無駄な動きするからだよ」
そう言いながらサーヤは杖に跨って空中へ飛び出した。それを見ていたフレイラは、半ば無意識的に同じことをした。
「あー! いいな! ヌルも飛びたい⋯」
魔法レベル400のヌルだが、どうやら飛行魔法は使えないようだ。
初めて使う飛行魔法のコントロールに苦戦苦闘しながら、サーヤのあとについていったフレイラは、サーヤが降り立ったのと同じ森の中に、からくも降りることができた。
「どこですか? 師匠⋯」
「シッ」
サーヤは人差し指を唇の前に立てた。そして杖の先で、傷を負ってうずくまっている男を示した。フレイラは迷わず前に出て男のほうへ歩いてゆき、回復魔法で男の傷を癒した。
「な、なんだお前、魔導士か⋯金なら払えねえぞ」
フレイラは答えた。
「お金は要らない。あなた『鷹の羽』の本拠地の場所を知ってる?」
「バカか? 知ってても言うワケねえだろ!」
「⋯⋯わかったわ」
サーヤとフレイラは頷きあって飛行魔法を使い、飛び去った。残された男は、わけがわからないといった様子で、呆然としていた。
ルティシアとヌルとミレイは、サーヤたちが飛び去った方向へ馬車を向け、ダイセスの街の中へ入っていった。




