第四十四話 フレイラたちは結束を強めた
「それにしても、ヌルの持っているタリスマン、この国では珍しい形をしているな」
ルティシアは首まで湯に浸かりながら言った。胸が大きいというのが彼女にとっては恥ずかしいらしい。
「アタシ、あれ見たことあるよ。でも、どこでだったかな⋯憶えてないな」
ミレイが言うと、サーヤがニヤッと笑った。
「首都の法皇宮にある女神像の首飾り」
「あっ! それだ!!」
「あたしのほうが物覚えいいみたいだね。年上なのにね」
「〜〜〜ッ! ムカつく〜〜!!」
フレイラが二人の間に割り込んだ。
「今、サーヤ様がサラッと重要なことおっしゃいませんでした?」
「重要かな?」
「この子の身の上⋯⋯女神像の首飾りと同じタリスマンということは、法皇閣下と何らかの関係があると考えるのが自然では?」
ルティシアが頷いた。
「フレイラの言う通り、ただの村人の子どもではないのだろう。ここでその子の親を探して済む話ではないかもしれない」
「うーん、どうすれば⋯⋯」
「とにかく早く王子を救出して、ヌルの出自はそのあと探すのはどうだろうか」
「そうですね⋯⋯うまく見つかるといいんですけど」
ルティシアは少し眉を寄せた。
「フレイラ。あのとき何が見えたのだ? 私は馬上からこの子の存在を見つけることはできなかった。生きている者の気配ならわかるが、死者までは⋯⋯」
フレイラは考え込んだ。
「何かが、光って目に入ったのだと思います。タリスマンかもしれない」
「女神の加護か⋯⋯」
アルテミシアが説明した。
「女神の加護って、聖女の器や聖女その人に発動する力で、普通の人にはわからないことがわかったりするのよ」
「そうなんですか⋯⋯私は、何かが太陽に反射して、たまたま目に入ったのかなって思ってました」
「でも、おかげでこの子は助かったじゃない?」
フレイラは暗い顔をした。
「私、自分が正しいことをしたのかどうかはわかりません。自然の摂理に逆らったというか、やってはいけないことをやってしまったのかもしれないし、だから逆に、この子の行く先には責任を持たなきゃいけないって気がするんです」
アルテミシアとサーヤは、ふと微笑んだ。
「何も、フレイラちゃん一人で背負わなくてもいいのよ」
「そう。あたしたちがいるし」
「アタシだっているよ?」
ミレイが慌てて言った。ルティシアも頷いた。
「私も、何があってもフレイラをお守りする。心配することはない」
「ありがとうございます⋯⋯みんな」
女たちは手を繋ぎあった。
「このパーティー、なんて名前にする?」
サーヤが笑顔で言うと、ミレイがはっとした。
「あ、ギルド出張所を探さねえと! アタシ、まだ冒険者登録してないよ! このまんまじゃクエスト成功しても何ももらえないじゃん」
「へえ、そういうルールがあるんですね」
フレイラが頷くと、ヌルが、
「あつい⋯くらくらする」
と弱々しい声で訴えた。
「大変! 湯当たりしたかも。早く出ましょう!」
フレイラはすっかりヌルの世話役になってしまった。




