第四十三話 フレイラはヌルの服を買った
フレイラはヌルのそばに鼻を寄せて臭いを嗅ぎ、
「この子には新しい服が必要ですね。私、子ども用の服を売っているお店がないか、訊いてきます」
と言った。そのときサーヤがフレイラの袖を引っ張った。
「その子の世話をするのはいいけど、その前に」
サーヤはフレイラの耳元に唇を寄せた。
「蘇生魔法を使えるというのは絶対に秘密。人前では使っちゃいけないし、知られてもいけない。面倒なことになるよ」
「⋯⋯はい、わかりました」
フレイラが真剣な面持ちで頷くのを見届けると、サーヤはいつも通りの表情に戻ってのんびりと先頭を歩いた。
村人たちはフレイラたちに気を留めず、賑やかに喋り合っていた。余裕のある、豊かな村のようだ。
「あの店にならあるかもしれない」
ルティシアが指さした店は、確かに衣料品店のようで、たくさんの服の中には子ども用のものもありそうだった。
「あっ、これなら合うかも」
フレイラはヌルの体に服を合わせてみた。そして、鏡の前に立たせ、
「どう?」
と、ヌル本人に尋ねてみた。
「うん」
ヌルはフレイラと以前から親しくしていたかのように自然に振る舞い、フレイラは銀貨を出してその服を買った。
「お釣りが重い⋯⋯」
財布に入り切らない銅貨を手持ちの袋に入れたフレイラは、かばんを斜めがけにしながら言った。
「銀貨なんか買い物に使うからだよ。ここらじゃ銅貨より上のコインは誰も使わないよ?」
ミレイが胡散臭そうにフレイラを見た。
「間違っても金貨なんか出すなよ」
「は⋯はい、気をつけます」
フレイラは村の公衆浴場を見つけて、
「あっ! ちょうどいいです、あそこに入りましょう」
と指さした。女たちは皆一斉に大きく頷いた。
ヌルの古い服は捨てることにし、フレイラは本当に妹の世話をする姉のように、ヌルの服を脱がせたり、髪を洗ったり、献身的に世話をした。
「公衆浴場とは有り難いな」
ルティシアが湯に入ると、ミレイが横に並んでその胸を眺めて、溜め息をついた。
「ま⋯負けた」
「えっ? 何が?!」
ルティシアは思わず両手で胸を隠した。




