第三十九話 フレイラたちは行き先を決めた
ルティシアとフレイラは二人で真剣に地図を眺め、行動計画を検討し始めた。
「我が主の行方を探るのも急ぎたいが、まずは隣国の王子を救出するのが急務というのは納得している。王子が囚われているとすれば『鷹の羽』の本拠地を一気に叩くのが必要不可欠ではないかと思う」
ルティシアの意見にフレイラは頷いた。
「そうですね。仮にも一国の王子を国境近くにそのまま放置したりはしないでしょう。本拠地はどこにあるのですか?」
ミレイが答えた。
「ここからそう遠くないよ。首都ソリス近郊の町、ダイセスにある。『鷹の羽』の二代目首領がアルバトロスという男なんだが、そのダイセスの隣村が出身であるらしい」
「ダイセス⋯⋯地図ではここですね。移動手段はどうしますか?」
フレイラの質問に、こんどはルティシアが提案した。
「私は自分の馬で行こう。みんなは、ほろ馬車を借りるといい。幸い、ここから近いリルム村に馬車貸しを営んでいる業者がいる」
「ほろ馬車! 素敵! 一回乗ってみたかったんです」
フレイラは両手を合わせて喜んだ。ミレイは不思議そうな目で彼女を見た。
「あんた貴族の娘だろ。民間のボロっちいほろ馬車なんて乗りたいもんなのかい?」
「あー、えーと、なんていうか、冒険者っていう感じがするなあって思って⋯決してそんな上から目線で見てるわけじゃないんですよ」
フレイラが慌てると、アルテミシアが微笑みながら彼女の両肩にうしろから手を置いた。
「この子は貴族のお嬢様だけど、そんじょそこらの令嬢とはワケが違うのよ?」
「へえ⋯聖女の器だからか?」
「ううん、そんなんじゃなくて⋯まあ、そのうちわかるから」
「ふぅん⋯⋯?」
ミレイは口を尖らせたが、それ以上は追及しなかった。
「じゃ、まずはほろ馬車を借りにリルム村へ行って、それからダイセスの町へ向かう、ってことで決定だな!」
「ちょっと」
ミレイを、サーヤがじとっとした目で睨みつけた。
「それはあたしが言うセリフ」
「いいじゃねーか別にアタシでも!」
「内容はいいけどリーダーじゃないんだから勝手に決めない」
「めんどくせーなあ、もう」
「そんなことでケンカしないでくださいよ⋯」
サーヤとミレイはキッとフレイラを睨みつけたが、一瞬で表情がふにゃふにゃになり、フレイラの頭を撫でたり体を撫でたりし始めた。
「可愛いなあ〜もう〜」
「今の顔もう一回やって?」
(ええ〜?)
困惑するフレイラと彼女にデレる二人をよそに、アルテミシアとルティシアはテキパキと荷物を用意し始めた。




