第三十八話 フレイラは髪を切った
翌朝、朝日の輝く木漏れ日の下で、アルテミシアがフレイラの長い髪を切った。これまでずっとロングヘアで過ごしてきたフレイラは、ボブカットの長さにするのが初めてだった。
「できたわよ」
「わあ⋯⋯」
鏡を見ながら、フレイラは後ろ髪や、あらわになった首筋などを触ってみた。
「すごい、素敵です! こんな髪形初めて」
フレイラは頬を紅潮させながら笑顔を見せた。
「会心の出来だわ」
アルテミシアは満足そうだった。
「ぐー」
サーヤが親指を立ててみせた。ミレイも興味深そうに、
「へえ、いいじゃない。ちょっと可愛すぎるから街で声かけられる可能性高いね。地味で質素な格好させといたほうがいいね」
と言った。
「その格好のあなたに言われてもね⋯」
と、アルテミシアがツッコんだが、やはりミレイには聴こえていない。もちろんミレイはむっちむちの美ボディを、惜しげもなくさらけ出す、布面積の少ないファッションである。彼女は戦士といっても格闘タイプで、肉体がいろんな意味で武器なので、色気もあり、かつ動きやすいのが良いのだ。
「では、このあとの行動計画を立てよう」
ルティシアが提案し、テーブルの上に地図を広げた。サーヤが先陣を切って話し始めた。
「まずは、『鷹の羽』の下っ端を一匹捕まえて、しめ上げて王子の居場所を知っている奴の名前を吐かせ、そいつのいる場所まで連れて行かせる。そのあと、王子の居場所を心から読み取る。できなければ、しめ上げる。で、王子を助け出そう」
「それって全部しめ上げるだけじゃないですか⋯」
フレイラが作戦に呆れると、ミレイが、
「しめ上げる以外の何をする必要があるんだ?」
と、悪びれもせずに言った。
(あかん⋯この人たちは基本がヤクザの思考だ⋯)
フレイラは穏便に済ませたかったが、そんな努力をしても一瞬で無駄になりそうなので諦めた。




