第三十六話 サーヤはリーダーに決まった
ミレイは話を続けた。
「まず、裏切り者は誰かという話だ。聖女の器として見出され、『紫水晶の指輪』と呼ばれた女児を国外へ連れ去ったのは、今は聖騎士団長のゲオルグがかつて指示したことだと言われている」
「嘘だ!団長がそのようなことをするはずがない!」
ルティシアは驚いて叫んだ。ミレイは、「やれやれ」と頭を掻いた。
「何も、ゲオルグが悪いとは言ってない。何か事情があったんだろう。たとえば紫水晶が命を狙われて、守るために居場所を隠すことにしたとか、な」
ルティシアは暗い顔で黙り込んだ。ミレイは声のトーンを落とした。
「誰が黒幕で、誰が裏切り者なのか、突き止めなくちゃいけない。まだまだ情報が足りないよ」
ミレイはテーブルに置いてあった水差しの水をコップにとり、飲み干した。それから、隠れ家の客人たちにコップを配って水を注いだ。驚いたことに、そのコップは木片をうまくつないで、彫って作ったものだった。サーヤが尋ねた。
「これ、ミレイが作った? きれいにできてる」
「ああ、うん、暇だから」
素っ気なかったが、ミレイは嬉しそうだった。
「で、これからどうする? フレイラ、決めていいよ」
サーヤが言うと、ミレイが反発した。
「なんでお前が仕切るんだよ。最年長のアタシがリーダーに決まってるだろ」
「何才?」
「二千二百三歳」
ミレイは得意げに豊かな胸をそらした。ところが、サーヤはもっと鼻を高く上げた。
「若いね。あたしは五千六百六歳」
「はあっ?!嘘だろ??!!」
「一瞬魔力解放してやるから鑑定すれば」
沈黙が流れた。ミレイの赤い瞳がキラリと光った。そして床に突っ伏した。
「本当とか! ありえねー!!」
「ははは。リーダーはあたしで決定」
(まるで神様が二人いるようなもんだけど、会話はなぜか小学生レベル⋯)
言葉には出していないが心を読まれて、フレイラはミレイとサーヤ両方から睨まれた。




