第三十二話 フレイラたちはミレイと出会った
三人の魔導士たちは三方向に別れ、いったん立ち去ったようだった。しかし、ルティシアが光属性のバリアを解除すると、フレイラの頭の上に黒い魔法陣が現れた。
(――!?)
それは強力な捕縛魔法だった。フレイラはまったく動くことができなくなった。
「フレイラ!」
サーヤが短く叫び、索敵の魔法を使って捕縛魔法の主を探した。だが、そのとき、男たちの叫び声が三か所で次々に響いた。
「ぐえっ!?」
「ヒギャッ!!」
「ギイヤァァァーー」
そして現れたのは、赤い瞳で白銀の髪をふさふさと垂らした、色黒でむっちむちの女戦士だった。
「殺してないよ」
と、女戦士は言った。
「一発ずつデコピンしてきただけ」
(デ、デコピン?!)
フレイラにかけられていた捕縛魔法が解除された。
「くそっ、ミレイか! 邪魔な奴――」
「退けっ!!」
男たちは額を押さえながら逃げていった。
「あ、あなたが『迷いの森』に棲むという、ダークエルフの女戦士ミレイ殿か?」
ルティシアが話しかけると、ミレイはそれを無視してずかずかとフレイラの前に歩み寄った。
「名前はなんて言うの?」
「あ、ふ、フレイラ……です」
「あいつらがなんであんたを狙ったかわかってる?」
フレイラは黙って立ち上がり、フードを外して仮面をとった。
「私が、レイア・ティアブレイドだから……」
「……」
ミレイはそっと仮面をフレイラの顔に押しやった。
「半分合ってるけど、半分違う」
「え?」
「あんた、別に賞金首だから狙われてるわけじゃない」
「そ、それじゃあ、なんで」
「ミレイ、何を知ってるの?」
サーヤが尋ねた。
「わからないの? 魔導士のくせに」
ミレイは長い髪を巻き上げて束ねながら言った。
「この娘、聖女の器だよ」
フレイラは、はっと息を呑んだ。サーヤとアルテミシアは、わかっていたようで、ルティシアだけが動揺していた。
「この子が、聖女……!?」




