第二十一話 アルテミシアは記憶を伝えた
幼いアルテミシアがひとりで泣いていると、今と変わらない姿のサーヤがやって来て、アルテミシアを慰めた。そして、背中におぶって歩き出した。
美しい木漏れ日と、アカシアの白い花にアルテミシアは見惚れた。
「強くなりなさい、アルテミシア」
記憶の中のサーヤの声が、レイアにも聴こえた。
「強くなる?」
「そうよ、戦える力を身につけるのよ。そして誰にも負けない自信を持ち、だからといって油断することなく、心はまっすぐに保ったまま隠すの」
「どうして?」
「騙されたり傷つけられたりしないためよ。自分の心と体を自分で守り、自分にとって大切な誰かを守るために」
その言葉がアルテミシアの心の中で大切にされていることを、レイアは読み取った。そしてさらに、違う記憶が入ってきた。
その新しい記憶では、アルテミシアが弓の稽古をし、上達し、その様子をサーヤが見守っていた。そしてマジックアイテムの弓をサーヤから手渡され、一緒にダンジョンへ潜って魔物たちを退治した。アルテミシアが危なかったときは、サーヤが魔法でフォローした。アルテミシアは訓練と実戦を繰り返して、どんどん腕を上げた。
そこで読み取れる記憶は終わった。はっとレイアが現実に戻ると、現実のアルテミシアとサーヤが微笑んでいた。
「初めて人の心を読んだ経験は、どうだった?」
アルテミシアが尋ねると、レイアは複雑な顔をした。
「不思議な感じ⋯まるで、映画を観ているような⋯⋯」
映画という言葉がよくわからなかったらしい。二人は首を傾げていた。そこでレイアは、試しに自分の過去生の記憶を、魔法で伝えてみることにした。




