第十九話 フレイラは魔法を習得した
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フレイラはその魔法書を読むのに夢中になった。面白くて仕方がない。これまで絵本のような易しい魔導書しか読んだことはなかった。巷には魔法学校というものがあるらしいことは知っていたが、入りたいとは思わなかったし、公爵家にいたときは誰かに教えてもらいたいとも思わなかった。人生になんの不足も不満も不安も、なかったからである。
数ページ読み進んだところで、フレイラは試しに「心を閉じる魔法」を使ってみた。すると、アルテミシアが怪訝な顔をした。
「フレイラちゃん、今なにをしたの?」
「えっ⋯魔法を使ってみただけです」
「詠唱なしで?」
「普通は詠唱するものなんですか?」
アルテミシアは額を押さえて溜息をついた。
「エルフや魔族は詠唱を使わないけど、人間は普通使うのよ」
「ええっ! 知らなかったです。魔法のことを理解したらそのまま使えるものだって思ってました」
「それは、驚くべき才能ね」
フレイラはきょとんとしていた。アルテミシアはちょっと考えてから、フレイラに仮面をとるように促した。
フレイラが仮面をとると、アルテミシアは、
「私はあなたが隣国カルバドスの王妃になるはずだったレイア・ティアブレイドちゃんだってことがわかってる。それと、何か私たちの知らない言語で思考してる時があることもわかる。本当のあなたは何者なの? 教えてくれたら、私たちのことも話すわ」
と言った。
仮面をとったことで、彼女はようやく自分はレイアなのだということをあらためて思い出した。
「ありがとうございます、アルテミシアさん⋯⋯ようやく、このことを人に話せる時が来て、嬉しいです。聞いてください、私の今から話すことを⋯⋯信じがたいかもしれませんが、どうか、受け止めてほしいんです」




