第十八話 フレイラは忠告された
宿屋に着いて、すやすや眠っているサーヤをベッドに横たえて布団をかけると、アルテミシアが、
「ちょっと、フレイラちゃん⋯」
と、ひそひそ話を始めた。
「? なんでしょうか」
「私たちは、たまたま悪意も何もない普通のエルフだったから良かったけど、世の中には良からぬ者たちもたくさんいるということはわかってる?」
「あ⋯はい、一応わかっているつもりです」
「あなた人をすぐに信用しすぎよ」
アルテミシアは眉をひそめた。
「今日会ったばかりの人間に荷物をまかせるなんて、普通だったらありえないわ。盗まれたらどうするの? 私だったから良かったけど、他の人には絶対に任せちゃダメよ」
「あ⋯⋯」
フレイラはアルテミシアに頭を下げた。
「すみません⋯そうですよね。自覚が足りなかったと思います。なんですぐに思いつかなかったんだろう⋯」
「私は弓使いだけど、魔法もちょっとは心得てるから、人の心を読んだりはできるの。だから今まで無事に生き残ってこれたと思うわ。あなたは心が無垢で純粋で、あまりにも騙されやすそうだから、ちょっと、あることをやってほしいのよね」
話しながら、アルテミシアは自分の荷物の中から魔導書を取り出した。
「これは、『金の魔導書』と呼ばれているレアな本。今からここのページを読んで、人の心を読む魔法と、人に心を読まれない魔法を習得してほしいの」
魔導書を受け取ったフレイラは、嬉しくなった。
「ありがとうございます、アルテミシアさん!」
「声を、小さく」
フレイラは思わず口を手で押さえた。それから、たった今受け取ったばかりの魔導書を開き、慎重に読み始めた。




