第十三話 レイアはフレイラになった
ウェンは手際よく料理をした。肉の焼けるいい匂いが漂ってきた。レイア、すなわち偽名フレイラは、料理に期待が膨らんできた。お腹がぐうっと盛大な音を立てたのを、ウェンの母親に聞かれ、ニコニコと微笑まれてしまった。
「できたよ、フレイラちゃん。どんどん並べていくから、好きなだけ食べてくれ」
「ありがとうございます、いただきます」
「これは花茶っていうんだけど、きれいで面白いだろ? 店で女の子に大人気なんだ。見た目もいいし香りもよくて、肌にもいいってやつでね」
「そうなんですね」
フレイラにとっては初めて見るものばかりだった。味わってみると、どれも美味しく、食欲をそそる盛りつけをされており、シーエンド国の豊かさを感じさせた。
「食べたことのない味ですが、とても美味しいです」
「へえ、なんかすごい上品な食べ方するんだね。もしかしていいところのお嬢様?」
一瞬、バレては大変だと焦った。仮面をつけていて良かったと内心冷や汗をかいた。
「いえ、全然⋯母親の躾が厳しかったので」
「フレイラちゃんはどこから来たの?」
「えーと⋯」
フレイラは必死に地図を思い浮かべた。
「ホーランド市です」
カルバドス王国の辺境の地名を言った。一度旅行で行ったことがあるので、なんとか嘘をつき通せるかもしれない。王城の近くだと正直に言っては、貴族の娘だとバレてしまう。
「ふーん、ずいぶん遠い所から来たんだ。魔導士の師匠はどんな人?」
「⋯⋯まあ、物静かな、人でしたね」
「根掘り葉掘りきいちゃってごめんよ、フレイラちゃんから何か聞きたいことはある? お礼になんでも教えてあげるからさ」
「あ、そ、それではーー」
フレイラは一瞬迷ったが、決意してフォークとナイフを置き、ウェンに尋ねた。
「冒険者ギルドへの行き方を教えてほしいです」




