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白い蜘蛛
見つけることなんて出来ないのに。
あなたは小さなそれと喧嘩をした。
それはかつてあなたの父親だったもので、突然あなたの手を噛んだのだ。
叩いてしまった。
腕と脚が変な方向に曲がり、苦悶の表情を浮かべている。
(どうしよう)
困惑し、動揺し、とにかく謝るあなた。
(ごめんなさいごめんなさい)
泣きながら何度も謝った。
(ごめんなさいごめんなさい)
(ごめんなさいごめんなさい)
(ごめんなさいごめんなさい)
(ごめんなさいごめんなさい)
(ごめんなさい)
(死んでください)
病院にも行けない、自分でも治せない、このまま生かしておけば父はより苦しむことになる。
そう思ったあなたは痛がる父親を手のひらに乗せ、トイレへと運んだ。
手足の激痛により場所が変わったことにも気づかない父親を見てあなたは(やはりこの状態で生かしておくのは残酷だ)と思いトイレに流そうとした。
その時。
もがいた拍子に手から離れた父親が床に落ち、〈ゴン〉と音を立てた。