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親友と(十八)

 真衣が『ダメ男』に力説しているではないか。

 それを聞いた香澄は、驚いて目を丸くすると、真衣を凝視する。

「あれ? 真衣は書かないの?」

 想定と違ったのか、真治が真顔で聞いている。香澄は真治を見た。

「書かないよぉ。もう書くことなくなってるしぃぃっ」

 めんどくさそうに答えている。香澄は真衣を見た。

「お母さんは?」

 真顔の真治を、真衣が睨み付ける。


「書く訳ないでしょおぉぉっ」

『なぁにを言っているんだぁっ』という感じで、言い放つ。


「ですよね。って、じゃぁ、なんでお母さん参加させたんだよ!」

 逆切れまでとは言わないが、笑いながら真治が問い詰めた。

 すると真衣は、『そこを突いて来たか』と、目を大きくして右手を頭に乗せる。反省しているのか?


「だから、それはノリでっ」


 真衣が舌をぺろっと出し、片目を瞑って答えた。駄目だ。仕方のない奴だ。


 その頃、香澄はと言うと、急な展開に思考が付いて行けず、真治と真衣を交互に見て、首が痛くなってしまっていた。

 どうなってんの? と思いながら、首を手で擦っている。


「じゃぁ、明日行ってくれば?」

 真顔に戻った真衣が香澄を見て言った。


「え、明日?」「え、明日?」

 真衣のことを良く知る香澄と真治が、同時に答える。

 二人共判っていたのだ。今の真衣の言い方、口調では『行け』と同義であることを。


 急な提案に二人共驚き、真治と香澄は、お互いの顔を見つめ合う。『私は、明日約束が』『俺は、明日予定が』

 互いの目を見ただけで、言いたいことが判る。これも『気が合う』と言うのだろうか。

 しかし『そんな馬鹿な』と思い直して『照れている』ことにして、同時に真衣の方を見た。


 そして『にやけた真衣の顔』を見て、直ぐにまた顔を合わせる。


 真衣の笑顔が、凄く怖かった。


 覚悟を決めた真治が、口をもごもごした後に言う。

「十時? 十時半? 十一時?」

 真治が三つ提案して、首をかしげた。それを真衣は『良し良し』と思って、にやにやするだけである。


「十時半? 十一時?」

 香澄が聞き直した。ちらっと香澄が真衣を見る。まだ真衣は笑っている。『良いぞ良いぞ』にやにや。


「十時半から十一時?」

 真治がそう言うと、香澄は顔を赤くしながらも頷く。

『良しっ』決まりだ! 真衣は笑顔でパチンと指を鳴らす。


「行けたらでっ」「行けたらでっ」

 香澄と真治が同時に答える。真衣はその場に崩れ落ちた。

 駄目だ。こいつら『ヘタレ同士』だ。


「行って、来なさぁいよっ! もー。根性なしっ!」

 真治に向かって苦言。しかし、顔を真っ赤にして埒が明かない。

「どういうこと? えー?」

 今度は、下を向いた香澄の顔を覗き込む。こっちも真っ赤だ。


 随分と消極的な二人に、真衣が強めの口調で言ったものだから、二人はゆっくりと顔を上げる。

 真治と香澄は同時に『ふくれっ面の』真衣を見て、そしてお互いに見つめ合うと、やっと笑った。

 そんな『呑気な二人』を見て、真衣は真治に向かって言い放つ。


「良い? TシャツGパンじゃ、ダ・メ・だからね! 判ってるね?」

 真衣が真治に注意事項を言った。真治は黙って頷く。何度も。

 香澄はそれを見て、くすっと笑った。それを横目で見た真衣は、今度は香澄に言い放つ。


「澄ちゃんもかわいい服ね! 一番かわいい奴ね! 判ってるね?」

 注意事項を聞いた香澄は、驚きと、込み上げる笑いを抑えつつ、何度も何度も頷いた。

 そして、真治と目が合うと、口を押さえながら小さく会釈する。


 すると真治も、苦笑いをしながら同じように返してくれたので、香澄は物凄くホッとした。

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