3話 情報量大洪水
「とりあえず君の職業について話そうか。瘴気のことはしっているよね」
「モンスターの凶暴化の原因でしたっけ?」
瘴気から凶悪なモンスターが生まれやすいというのはニュースで聞いたことがある。
最近は世界各地で瘴気の発生が多くなっているらしい。
「その認識であっているよ。あれはねダンジョンの癌みたいなものなんだよ。
そしてそれを掃除してもらうために《掃除人》を作ったんだ」
豚さんによると瘴気は人間の癌と同じで成長すると良くないことが起こるらしい。瘴気が成長しきる前に駆除するのが俺の仕事のようだ。
「俺にそんな大役が務まるんでしょうか…」
「そこらへんは心配ご無用さ。仕事に必要なスキルは最初から用意してあるし、君は元のステータスが高い。それに君には修行を積んでもらうからね。それが終わる頃には一流の掃除人になってるはずさ。プー太郎さん入ってきてー」
「はいよ」
その声とともに作業服の老人が入ってきた。
「この人は最橋封太郎さん。元世界ランク一位にして君のプロトタイプみたいな存在だよ」
「儂が修行をつけてやるから光栄に思え」
情報が完結しないよ……。
あの火山頭も同じ気持ちだったんだろうな。
最橋封太郎といえば、冒険者なら誰もが憧れる伝説だ。
特異職業の《無職》ですべての職業の能力を使える唯一の存在。
3年前に突如失踪した時は世間がパニックになった。
この人は本物なのだろうか。
失踪当時の見た目は二十代後半だったはずだ。
それがたった3年でここまで老けるものなのか。
「失礼ですがステータスカードを見せてもらってもいいですか?」
「ほれ」
カードを見ると最橋封太郎と書いてあり、職業欄は《掃除人(仮)》となっていた。
たしかに本物だ。
後でサインもらお。
てか、(仮)てのは豚さんの言っていたプロトタイプってことなんだろうな。
無職から進化したのだろうか。
「疑ってすいませんでした!あとサインください!!」
「この見た目だし、疑うのもしゃーないわな。実はこれ細胞に働きかけて無理やり老化してるんだぜ」
さすが元世界ランク1位。
老化の理由は身バレ防止と普通の人間のように死にたいかららしい。
冒険者になると寿命が伸び老化が遅くなる。
強い冒険者程寿命が長くなるので女性の方が高ランク冒険者に多かったりする。
だが彼は普通の人として生きることを選び、年齢相応の見た目になった。
「とりあえず修行方針を伝えるわ。まず一ヶ月木星で暮らせ」
木星ね。はいはいジュピターね。
まじかよ。