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宇宙を救うヒーローは時給戦士  作者: 赤城 マロ
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宇宙の最低賃金っていくらですか?

 今、地球はかつてない危機に瀕していた。

 その理由は未知なる外界からの侵略者『ニャーラス』。数年前に何の前触れもなく突如として空から降ってきた彼等は空を焼き、街を焼き、肉も焼いた。そんな異形の侵略者達について分かっている事はただ一つ。この限りなく深い漆黒の宇宙から飛来して来る、それだけであった。


 そして人類はそのあまりに強大な敵と戦う事を余儀なく選択させられた。地球を、平和を守る為に……




 ここは漆黒の大宇宙を進む超時空戦艦『アヴァイン』の船長室。よく分からないピカピカと光る機械が彼方此方で稼働しており自動でこの船を動かしている。

 そんな世界の希望を担った船の第一防衛部隊部隊長がこの俺、『空色宙太そらいろちゅうた』だ。


「赤髭船長。船長室の掃除完了しました」

「うむ、ご苦労だったな宙太。おっと、もうこんな時間か、タイムカードを切って今日はもうあがりたまえ」


 大きな髭をたくわえたこの人は船長は通称『赤髭』。

マジックで自分の髭を赤く塗っている事からそう呼ばれている。


「あの、赤髭船長。少し質問してもいいですか?」


 世界の危機とはいえ労働環境はしっかりとしておりクリーンな戦艦だ。その事に不満はない、ただ唯一不満なのが……


「世界の命運をかけたこの超時空戦艦『アヴァイン』。その乗組員の俺がバイトでいいんでしょうか?」

「はっはっは、今更何をいっているのかね宙太部隊長。当然いいに決まっているだろう?」


 いいに決まっているんだ……いや、駄目だろ!


「いやいや、俺も宇宙にまで来ておいて今更だとは思いますよ!? でも普通に考えておかしいでしょ! 普通長年の訓練を受けた特級エージェントが地球の危機を救うとか、そういうものじゃないですか!? だって俺普通の高校生ですよ!? 先月までドーナツ屋でバイトしてたんですけど! 時給900円で雇われたただのバイトなんですけど!」


 やはりどう考えてもおかしい。

 バイト先のドーナツ屋が潰れたから仕方なく求人誌に載っていた求人先が宇宙戦艦での勤務ってどう考えても変だろ! 自慢じゃないが俺は中肉中背……いや、なんならちょっと太ってるまである普通の高校生だぞ!?


「大丈夫だって、求人誌にも『初心者歓迎』って書いてあっただろ。心配ないよ」

「いや、初心者歓迎しちゃ駄目でしょ!? もっと門下狭くしないと駄目なヤツですよコレ! しかも何? 俺部隊長? 学校で班長すらやった事ない俺が部隊長ってマズイでしょ!?」

「大丈夫大丈夫、俺もバイトだから」


 お前もかよ!?

 いや、お前は駄目だろ!? じゃあもう自分で髭を赤く染めるただの変なおっさんじゃねーか。


「でも、宙太。考えてもみろ、宇宙戦艦に乗った奴なんて、ましてや宇宙からの侵略者と戦ったことがある奴なんて誰一人としていやしないんだから。誰がやっても大差ないさ」


 そう言って高笑いする赤髭船長。


(いや、大差あるでしょ)

 俺は何故、こんなバイトに応募してしまったのか……後悔は尽きないが宇宙まで来てしまった以上簡単には引き返せない。それに地球の皆が困っていることに変わりはないしな……


 救うしかないのだろう。この世界を、時給900円で。


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