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なまこ③
わーい、両手に花……ってなるかぁ!
「だいたいあんたたちなんなのよ! 勝手に他人の家に入って!」
「勝手にじゃないよ! 家の中でお留守番してたのに酷いよご主人!」
「そうですよ、私だって以前お呼ばれしたことがありますよ!」
不法侵入イケが言えば、ニョロイケも続く。
何よ! あんたたちみたいなイケメンの知り合いはいないわよ!
ふと、引っ掛かりを覚える。
……留守番?
『じゃー私、今日も社畜してくるからお留守番お願いねー』
『にゃー』
『あー……世界滅びないかな……いや、ここは異世界転生……』
『にゃー』
『んなわけないか。じゃーいってくるねー』
ま、まさか……。
私はエコバッグからちゅーるを取り出す。
「ちゅーるやあぁぁぁぁ!」
不法侵入イケが叫ぶ。
ちゅーるを左右に振れば、金の視線はそこに釘付け。
「ご主人、留守番のご褒美、ご褒美ですよね!」
この反応……まさか……。そう言えばあまりの衝撃で忘れていたけど確かに部屋の中に猫の気配がしない。
「あなた……、あなたひょっとして猫のボンクラちゃんなの!?」