すなが③
仕方がないので眺めていた。
ストロングゼロを呑みながら。
イケメンが自分を取り合い(?)バトルを行うなんて、考えてみれば乙女の夢ではないだろうか。
しかし片方は変態不法侵入者、片方は闇から現れしニョロニョロ下半身ときた。
これを『私の為に争わないで~♡』などとご満悦で言うには、かなりニッチな性癖でなければ厳しいと思われる。
大体、なんだこの勝負は。
既に私のストロングゼロ(ロング)は底を尽き、二本目になってもまだフーフーしている輩共。
可愛さアピールか。
可愛さアピールか。(※二度目)
空きっ腹に酒が入ったことで、段々困惑よりも苛立ちが勝ってきた私は、ストロングに叫んだ。
「──お前らなにをグズグズしてやがるッ! 私への愛はその程度か!?」
鮭とばをストロングに噛み千切りながら、ストロングゼロをストロングに流し込む。
「……くうぅっ!! ぷはー!!」
染みるぜ!!ストロングにな!!
「ご主人! 今俺が愛を示してみせます!! フーフーフーフー!」
「ぬうっ?! 私とて負けぬ! フーフーフーフー!」
「いいから飲めよ」
奴らの愛など所詮はまやかしであった。
しかし、愛など要らん。
今欲しいのは……そう、ツマミである。
私はなにか鮭とば以外のツマミが欲しくなったが、残念なことにせっかく購入した焼き鳥は、ストロングにアスファルトに叩きつけられてしまっていた。
「ねー、ちょっとコンビニ行ってきていい?」
「「えっ」」