おまけのざっくり後付け伏線回収回(すなが)
俺はあの夜を何度か繰り返している。
次元を渡る際に記憶を失った一回目、かつての俺の召喚(※トラック跳ねられ)と共に今の俺も消滅した。
気付いた時には召喚前からのスタート。
人型に変えられた俺は勇者としての運命が決まっていたのだ──数度目あたりにはそう思っていたが、それもまた違っていた。
かつて世界の王として異世界で君臨していた俺こそが本来の姿。
延々続く休みのない日々に体力は無限であろうとも、心は疲弊していた。
社畜のご主人と同様に。
「もう嫌だ────!!
のんべんだらりと甘やかされて暮らしたい!!」
「あっ魔王様!?」
そして俺は、禁忌に手を出した。
そう、次元渡りである。
力尽き猫となった俺を拾ったのは、ご主人だった。記憶を失った俺は、ゴロゴロと喉を鳴らし、ちゅーるに舌づつみを打つ猫の幸せな生活に満足しており、自分が猫であると思い込んでしまっていたのだ。
外法による歪みを直す為か、記憶を少しずつ取り戻しながら、その後の世界を荒らした者を粛清しつつ、やり直しは続く。時折記憶は混乱し、なかなかこの世界の俺との足並みが合わない。
(だが、今度こそ……!)
階段から足を踏み外し、宙に投げ出される彼女の身体。
そしてエコバッグから飛び散るストロングゼロ(ロング)、猫缶、ストロングゼロ、鮭とば、ストロングゼロ、ちゅーる、焼き鳥、ストロングゼロ……。
「おっと! 危ない!!」
今や完璧な人型を取れる俺。
ほぼほぼストロングゼロと共に落下した彼女を華麗に受け止める。
今回も焼き鳥は守れなかったが、それは仕方ない。
階段の上の俺と目が合う。
『あとはよろしく』
口の動きがそう言っていた。
矛盾があってもそれはそれ。
サブタイで察してください。




