1/13
すなが①
部屋の扉を開けると、そこにはイケメンがいた。
──ので、閉めた。
そう、イケメンはイケメンでも、相手は見知らぬイケメンである。
大体にして、部屋。
アパートの、私の部屋。
つまり、不法侵入者だ。
イケてる面ならいいってモンではない。明らかにヤベェヤツである。
だからこの胸のドキドキは、決して恋ではないのである。
どちらかというと『恋』ではなく『変』。
──変……変態だ!
今変態が、家にいる!!
いよいよ恐ろしくなってきた私だが、仕事で疲れてグダグダな身体と脳がここまでの状況にすぐ反応できずに今に至っている。
つまり、私はまだ扉の前にいた。
「あばっ……あばばばばば」
謎の擬音を発しながら、とりあえず鍵を掛けて逃げることにした私の手は震えており、鍵が上手く掛けられない。
いや、鍵なんかかけても無駄だ──!!と気付くまでにおよそ30秒。
私は混乱している!
そう、私は混乱しているのだ!!