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吸血鬼一族の歴史旅行  作者: 如月麗羅
弥生時代
9/15

3話 お久しぶりです

皆さん、お久しぶりです。亜弥斗です。

300年くらいたちました。僕ももうとっくにお爺さんです。


☆★


300年間、特に変化のない日々を送ってきた。仕事は最低限やって、後はひたすら寝ていた。

死なない老いないなんておかしいから、定期的に村を移動しないといけないのが面倒くさかったけど、それ以外は寝てればいいから楽だった。


でも、最近面倒くさいことが起こっている。

それは、村、というか、国どうしの争いだ。


稲作が伝わってきたばかりの頃は良かった。ただ米を作ってるだけだった。不作の年もあったし、小さなケンカもあったけど、未来よりずっと平和で穏やかだから、寝やすかった。

でも、その内用水とか食料をめぐって村と村で争い始めた。

用水は確かに稲作において必要で、食料も生きていくうえで大切。でも、だからって争って奪い合うなんて、なんて面倒くさいことを。


その時僕たちの暮らしてた村は能天気な人たちが多くて、他の村との争いにすぐに負けた。そして、その村の一部になった。

それから、勝ったり、負けたりしてたら、いつの間にか1つの国になってた。そんなことがいろんな所であって、いつの間にか日本列島には100以上の国ができてた。


今は、豪族って奴が僕らたちを支配してる。

豪族は本当に面倒くさい。前みたいに程よく休めない。寝てばっかりの生活も出来ない。

豪族は本当に面倒くさい。

しかも、まだ国どうしで争っている。本当に面倒くさい。争いも、それを率いてる豪族も。僕は今すぐ寝たいよ。



そんな風に思っていた頃、父さんが珍しく素晴らしい事を言った。

「最近いろいろ面倒だし、しばらくは森の奥で家族だけで暮らそっか!」


今でも、父さんの性格は前世とほとんど変わりがない。ただ、1つだけ大きく変わった部分がある。それは、人間への情だ。父さんはそれが無くなっていた。

永い時を生きていれば、嫌でも自分が人間ではないことを自覚する。それに、能力の違いによる考え方の違い。吸血鬼からすると、人間の弱さは酷く哀れに見える。また、何回も移動し別れを繰り返していれば、情を持つことが無意味に思えてくる。


そうして、だんだんと情がなくなっていく。まだ転生したばかりだった頃は、見たことのない父さん(いとこ)の姿に驚いた。今では僕も情が無くなってきているけど……。



だから今回も、命懸けで争っている共に暮らした人たちを見捨て、国を出ていった。

これで今日から、森に引きこもって眠りまくることができる。幸せな日々が始まりそうだ。


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