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最終戦の始まり

アーノルドに連れられてルティンも戻って行った。

ルティンは諦めるつもりはないらしく、何度も美優に声をかけていたが、ほとんど無視されていた。

ワンに警戒を解かないように注意を残して、二人の王子は護衛を連れて消えた。


「あんなにシツコイとは思いませんでした」

どんな時も貴族の気品を保っているカレンディアが、疲れてソファーのアームに身体を預けていた。

何をされたのか想像して美優が頬を染めると、カレンディアが慌てて訂正する。

「違いますから!

扉を閉めたのは聞かれたくなかったからですわ。

わがままな子供のようでしたわ」

美優は思わず、欲しい物を強請ってスーパーのお菓子コーナーで寝転がる男の子を想像していた。

「それは・・お疲れ様です」



「へぇ、面白そうな話しているじゃないか」

急に後ろから声がかかり、美優は驚いて飛び上がった。

「フランシス!」


疲れた、とフランシスが美優の横に座ると、カレンディアはお茶の用意に立ち上がる。

律儀に野菜を持って来たらしい。ワンに渡している。


お茶を淹れると、カレンディアとワンは部屋から出て行った。ワンは外の警備を確認に行くらしい。

「美味いな、ここは落ち着くよ。

戦後処理とあの花の後処理と両方だからな」

美優だって優しい言葉をかけようと思うのだが、それより言いたいことがある。

「アーノルドと密約したんですって?」


フランシスはソファーから立ち上がると、美優に膝をつき手を取る。

「順番が逆になったが、ミユウ、結婚して欲しい」

「無理。王妃様なんて無理。

それに、勝手に婚約させるとか腹立つ」


美優に断られたのに、平気な顔で横に座り直すフランシス。

「ミユウが怒るだろうと分かっていた。

だが、急ぐ必要があったんだ。

ミユウの血が力を持っていると隠しきれない。

あの花を退治するのを、たくさんの人間が見てしまった」

それの意味することを美優だって分かっている。

デイルのように血を狙ってくる人間がいるかもしれない。


「なかには、巫女どころか、聖女とさえ呼ぶ者もいる。

もしくは、勇者と呼ぶべきかもしれない」

「そんな大層な者じゃないのに」

美優が(うつむ)き加減にするが、フランシスが顔に手をあて上に向かせる。

「すごいことをしたんだ。

あそこに飛び込んでいく勇気や、アレを討伐してしまう力を見てしまった人間には、憧れや羨望、妬み、いろんな感情を引き出すんだ」

コトンと机に置いた小さな箱。

その蓋を開けると、大きな石の付いた指輪。それを取り出すと美優の指にはめる。

「ちょっと、止めてよ!」

美優が手を隠そうとするのを、フランシスは掴んだまま放さない。

「これはウズデロイド王妃の証。

少しは牽制に役に立つだろう。

それでも、ミユウを狙って来る者は多くいるだろう。王妃ぐらいの警備でないと守れないんだ」


「ごめん、心配してくれたのね。

それを頭ごなしに否定して」

「そうだ、マルセウスの王太子と二人で対策を考えたんだ。

ミユウをあそこに引き出した責任があるからな。

いくら俺がミユウを好いていても、身分がないと王妃は難しい。だから、マルセウスの王女という身分を与えた」

けれど、なんとなく違和感を感じる。

「王妃ぐらいの警備ってどれぐらい?

単純に、マルセウスとウズデロイドにいいように使われているのでは?」

勇者だ、聖女だ、というなら警備だって厳重にできるはずだ。王妃でなくとも。


美優が隣に座るフランシスの耳を引っ張る。

「おい、やめろ、痛いだろう」


「フランシスとアーノルドに都合よすぎる」

美優は気づいてしまった。

護衛ならワンがいる。王妃でなくとも警備は付けれるのだ。




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