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花の成長

「よかったの?カレンディア」

美優は背後のカレンディアに尋ねる。

カレンディアがまだ王太子に気持ちがあると、分かっているのだ。

「はい。

このまま許すなんてありえませんから。

それにしても、あれぐらいではスッキリしませんでしたわ」

食器の片づけをしながら、カレンディアが答える。





王宮に戻ったフランシスは、アーノルドの言葉を思い出していた。

「我が国内の赤い花に、種と思われる実が成長している」

渡された資料も、信頼のおけるものだった。

本当に種だったとしたら、急がねばならない。

赤い花が広がる速度が落ちていて、現在止まっている状態だ。

それが種を付けるためだとしたら?

種は広範囲に広がる姿で生まれてくるのだろう。

タンポポの綿毛のように風に乗って運ばれるもの、果肉を付け動物によって運ばれるもの。

どのような形であろうと、根で広がるより広範囲に広がる可能性が高い。


ウズデロイド、マルセウス、両国で協力せねばなるまい。

いつかは進軍して手中にしようと思っていた国だ。

それが、手を取り合って共闘するようになるとは。

「皆を呼べ」

フランシスがトミーに声かけると、トミーは慣れた手つきで文官たちに指示をする。

急遽、重臣達を呼んで会議をするのはよくあることだからだ。


アーノルドから渡された資料を読んで、大臣達はうなり、学者達は目を輝かせている。

「是非とも、マルセウス側で成長している種を調べたいですね」

「ここには蕾のような姿とあるが、開けば種が複数あるのだろう。おそろしい繁殖力だ」

皆が意見を述べるが、一致しているのは、マルセウス側と調整せねばならない、ということだ。

「陛下、これの入手先は?」


「女を取り合っているマルセウスの王太子からだ」

室内がどよめき、静かだった部屋が騒々しくなる。

「だから後宮も解散させた。もう二度と俺に女をあてがおうなどとするなよ。首がなくなるからな」

もともと後宮に興味を示さなかったフランシスだったが、解散すると決めた時の反感は残っている。

「そんな資料を信じるのですか!?」

大臣の一人が立ち上がる。


「俺にそれを証明しろと?

お前が違うと証明してみろ。赤い花の種の元に行くがいい。たどりつく前に食されるが」

ハハハ、とフランシスが笑うが、目は冷めている。

「いえ、陛下を信じていますが、マルセウスの王太子というのが気になったのです」

最後は言葉を濁して大臣が言葉を閉じる。


「ダーレスをマルセウスに行かせろ」

フランシスが呼ぶダーレスというのは、研究所で魔獣製造をしていた学者だ。

美優の採血で、赤い花の研究の責任者となっている。

「マルセウスからは、第3王子がくる。

ミユウの血を取り込んでいるから、実験に使え」

美優に傷を付けた男をフランシスが許すはずがなく、実験に使えはそのままの言葉だと、トミーは背筋が凍る。

友好国ではない国の王子を、実験材料にするわけにはいかない。

そして学者のダーレスは、優秀ではあるが、魔獣に狂信的な部分もある。行き過ぎた実験もいとわない人間なのだ。





マルセウス側の赤い花の調査から帰って来たダーレスは、種で間違いない、と上進するのだった。

「第3王子に会いました。

魔力は凄いとしか、いいようが ありません」


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