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ルティンの想い

ククク、ルティンが口元を押さえて笑い出した。

「ルティン?」

美優が不思議そうに名前を呼ぶ。


「いや、僕は振られたのかな、と思って。

初めての経験だからね」

こいつ嫌みなヤツ、何様だ!美優がルティンを睨む。

自分の思い通りになるのが当たり前だったんだろう。

残念でした!


「こんな気持ちは初めてなんだよ。

僕のライバルはウズデロイド王になるのかな?

ミユウと最初に出会ったのは、僕だからね」


美優も草原の出会いを思い出していた。

魔獣に襲われていると、助けに来てくれた人だ。

この綺麗な顔で王子様と知り、ときめいたのは仕方ない。

それから、ボロボロの美優を砦に連れていって食事も寝る場所も与えてくれた人。

ワンがいたとはいえ、ルティンがいなければ、間違いなく路頭に迷っていた。

命の恩人ともいえる人なのだ。


「もう一度、初めからやりなおそう、ミユウ」

ルティンが、そっと美優の手を取ろうとしたところで、その手を美優が振り払う。

「感謝はしておりますが、それだけです」

美優の感情のない声が、ルティンを打ちのめす。




「殿下、ミユウ様はお疲れなのです。

今日はおひきください」

カレンディアがルティンと美優に間に立つ。


「君こそが大変だと思うよ。

兄上は恐い人だからね。絶対に逃げられないよ」

ルティンは小さく手を振ると、小屋を出てく。


「殿下をお送りしてきます。

すぐに、戻りますから」

ワンがルティンを追う。



馬に乗ろうとして、追いついてきたワンにルティンが尋ねる。

「君たちは、知ってしまった。ということで正解か?」

ワンが答えないことが肯定と取ったのだろう。ルティンが続ける。

「我が王家には、執着の魔術がある。

それは誰にでも行使するものではない、決して逃がさないようにする為、対価を払う魔術。

兄上は婚約者に何重もその魔術を施した。

婚約解消しても、側から離すつもりなどなかったはずだ」

「その対価とは?」

「反動だ。同じものが自分にもかかる」

兄上やデイルが美優にかけた魔術は、好感を持つ程度の軽い魅了だが、カレンディアは違う。



ルティンは、馬を転移陣の設置してある場所まで駆け出した。

ワンは後ろ姿を見送りながら、ルティンの言葉を復唱していた。

怒り、喜び、悲しみ、魔獣の頃にはなかった感情はある。

だが、恋愛という気持ちは理解できない。

いつか、もっと感情豊かになるのだろうか。

ただ、わかっているのは、ご主人を悲しませるような人物には、自分は排除に動くだろうということだ。


それが、貴方でないことを願うよ。


ワンは周りに注意しながら、小屋に戻る。

いつもと同じように、兵が隠れて警備している。

それは、逃げ出さない為か、守る為か。



ワンが小屋に戻ると、美優とカレンディアが夕食の用意をしていた。

食事をほとんど必要としないワンだが、3人で揃う食卓は好きだ。

思わず笑みがでてしまう。



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