表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/89

魅了という不安

王宮に転移して戻ると、デイルは荒れていた。

赤い花の処理をするために、魔力の大きいデイルが幽閉先から出されたのだ。

これで結果を残さねば、戻されてしまう。


『食べたい』

ゾクリとした。あの花に狙われている自分を思い出した。

部屋を見渡すと、ミユウに魅了が効かないことで、物に当たってしまった。

散らかった書類を拾い集めながら、兄に報告せねばなるまいと覚悟を決める。




「デイルです」

扉をノックし、名を告げるとすぐに兄の執務室の扉が開いた。

中には王太子アーノルド、第2王子ルティン、側近である次官たちがいた。

赤い花の対処で、誰もが疲れている様子がみえる。

王太子は次官たちを下げると、兄弟3人になった。


「遅かったな」

部屋の奥の執務机に座るアーノルドは、護衛から顛末を聞いているのだろう。

「申し訳ありません」


アーノルド机に肘をつき、執務の手を止める。

「それは、何に謝っているのか?」


「ミユウに危害を加えるところでした。

魅了が効かず、焦ってしまいした」

デイルは王族の中で最も魔力が大きい。

だからこそ、兄より自分が、と思ってしまったのだが。

「お前の魔力で、魅了が効かないだと?」

魅了が効いているのか、効いていないのか確認するのは難しい。

曖昧な感情だからだ。


「まさか」

立ち上がったのはルティンだ。

「兄上、直ぐに戻ります」


ルティンが向かうのは、美優のいる小屋だと言わなくともわかる。

魅了をかけているから、自由にさせていたのだ。

必ず戻ってくるという自信、それが揺らいでいる。

アーノルドは、ルティンが部屋を出ていくのを視界の角に見ながら、デイルに状況を確認することにした。

「あの花はどうだ?

お前が見て、どうだった?」


「思考を持っているのかもしれない。僕の魔力でもほとんどダメージを与えられなかった。

だから、異世界から来たミユウに会いにいった。

ウズデロイドの情報も欲しかったから」

あの花が広がれば、国の存続の危機でさえある。




ルティンは、小屋のすぐ近くに設定した転移陣に現れた。


もし、美優に魅了が効いてないとしたら。

こんなところに置いておくわけにはいかない。




「あら、さっきデイルが来てたんだよ」

ルティンの姿を見つけて、美優は声をかけた。


「お邪魔するよ。

デイルが迷惑かけたようだね」

ルティンは美優に、軽く手をあげる。

何と話せば、魅了の効果を確認できるのか?

「ミユウ、そろそろ王宮に戻って来ないか?」


「急にどうしたの?

それは、ないな」

今更、と美優は即答だ。


「ミユウが心配だからだよ。

僕の側にいてほしいんだ」

ルティンは美優の手を取ろうとして弾かれる。


「今度は何?

さっきはデイル。

今はルティン。

今になって、かまってくる。

私は、貴方達の都合のいい女じゃないから」

美優の言葉に、ルティンはデイルの言うとおりだとわかるが、それで納得が出来るはずもない。


「ミユウ、兄上の婚約者というのは巫女としての建前なのだ。

嫌だからと、こんなところにいる必要はない」

ルティンの言葉に、カレンディアの肩がピクンと揺れる。

「だから、何?

サイテー!

それで、傷つく人がいるってわからないの?」

ルティンの言葉の根底にあるのも、魅了で思い通りに出来ると思っているからだ。


「ルティンなんてキライ。帰って」


美優の言葉に、ルティンは動けない。

王族は好き嫌いで考えてはいけない、と教育を受けてきた。

なのに、美優の言動に振り回される。

何故に魅了が効かない?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ