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ざまぁの始まり

「ね、ミユウ。

僕に協力してくれるよね?」

無駄に顔がいい第3王子デイルが、断られるはずないと自信満々に聞いてくる。


カチン。

美優の中で怒りが音を立てるようだ。

魅了しているから、思い通りになると思っているんだ。

この世界に来たばかりの頃だったら、魅了にかかって無くとも流されていたかもしれない。

美優だって、あの花は殲滅したいのだから。

だが、何度も殺されかかり、痛い思いをして、それではダメだと分かった。

「お断りします」

美優が断るなど思っていなかったろうデイルは、一瞬目を見開いたが、すぐに目を細めて笑顔を見せる。


「ミユウ、大事な事なんだよ。

たくさんの人の命がかかっている。両国で対策を打たねば殲滅できない」

諭すようにデイルが優しく言う。


うわあ、気持ち悪っ!

今まで、よく平気だったな私、と思いかけて魅了されていたんだ、と認識する。

「両国? 自分に都合がいいようにするためにでしょ?」

ドキドキ、心臓が嫌な音をたてている。

決して王子の顔にドキドキしているわけではない。王子にマウントを取られないように緊張している音だ。


「お願いだよ。

ウズデロイドとの橋渡しをしてくれたら、いいことしてあげる」

満面の笑みが眩しい。末っ子王子らしさを強調して可愛いとさえ思ってしまうイケメン。

これが、母性本能をくすぐられる、ってことー? 美優は自分に突っ込みながら、デイルに屈することなく拒否をする。

「ノー!」


「え?」

デイルが虚を突かれ、戸惑っている。

この世界、英単語は通じないらしい。

決めたぞ、と息込んでいた美優は肩透かしである。


「デイルが、マルセウス側でどれほどの発言権があるか分からないのに、もめごとの原因になるような事したくない」

ああ、胃が痛くなるような話だわ、と視線を彷徨(さま)わせれば、窓の外に落ち葉が舞っているのが見える。

ああ、風が強いんだわ。

関係のないことに気持ちがいってしまうが、デイルの言葉で引き戻される。

「僕がここに居る事が全てだよ。

マルセウス王家で僕の魔力は飛び抜けいている。

ミユウ、君の血の不適合から生き延びるぐらいにね。

だから、幽閉から解放され、あの植物の調査を任ぜられたんだ。

あれは、尋常の(ことわり)の外にある生き物だ、そうだろう?」

そうだとも、応えずに美優はデイルの言葉を聞く。

「少しは僕の中に美優の血があるのかもしれない。

あいつが、食べたいって言うのが聞こえるんだ」


ひぅ、美優が息を飲む音が部屋に響き、カレンディアとワンが美優の手に手を添える。

それは、フランシスの執務室で、カレンディアもワンも聞こえた。

もちろん、一番強く聞こえたのは美優である。

あの時の恐怖を思い出し、身を固くするが逃げないと決めた。


「だから?」


デイルの知っている美優は、自分では力を使えず、この世界の事もわからない、頼りない少女だった。

まさか、反論してくるとは思っていなかった。

「だから、守ってあげたいんだ。

あいつから守るから、僕の言う事を聞いて」

デイルが言葉に魔力を込める。


「ワンが守ってくれるから、デイルはいらない」

美優が立ち上がると、カレンディアがデイルに礼をすると、美優の言葉の後を続ける。

「デイル殿下、どうぞお引きください」


カレンディアに言われて去るようなデイルではない。

「ミユウ、嫌いになっちゃうよ?」

もう一度魔力を込めて言葉にする。


「だから?」

美優がニッコリと微笑む。

「王子様だから?顔がいいから?

女の子がいつまでも待っているなんて思わないでよね。

都合のいい時だけ、会いに来るなんて、バカにしすぎ。

今更、遅すぎ」


茫然とした表情で、デイルは美優の言葉を聞いている。

「魅了がきいてない?」

小さく呟く言葉は、思わずこぼれたのだろう。


「ミユウ!!

こっち見ろよ!」

放心していたのに、突然大声を出し始めたデイル。

激怒するデイルを護衛騎士が抑えようとし、その前にワンが立ちはだかる。

「殿下、巫女様に危害を加えないお約束です!」

暴れだしたデイルの腕を取り、美優に近づかないようにしている。


「騎士どのお手伝いする」

ワンは暴れるデイルを魔術で拘束すると、口に猿轡(さるぐつわ)

引きずるように馬に乗せると、騎士が後ろに乗り転移陣のある場所に向かった。


「見たー? あの顔。信じられないって顔してた!」

嬉しそうにする美優に、カレンディアも頷く。





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― 新着の感想 ―
[良い点] 美優の「痛かったよ。斬りつけてくるなんて思わなかった」の一言に普通の女の子はそこまでお人好しになれない~と疑問を感じたけど、魅了の影響で今から仕返しが始まる伏線だったんですね。 胸糞展開…
[良い点] 斬りつけたことを謝りもしないで自分の功績となることだけを要求するデイル……普通なら美憂死んでたんやで……。 人間として大事なことが、魅了と地位のせいで欠けてしまっていることに全く気がついて…
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