復讐の計画
目が覚めて美優は、周りを見る。
何も変わっていない。
身体が軽くなったとか、思考が明瞭になったとか何もない。
魅了が解除されるって、こんなものなのかと思うが、魅了を受けた時も気づかなかったのだから、精神系の魔術は本人には気づかれないものなのだろう。
隣のベッドにいるカレンディアは、まだ目が覚めないようだ。
「ご主人」
神獣の姿で部屋にいたワンが、美優が目覚めたことに気づきベッドわきに来た。
「ワン、心配かけたね。ありがとう」
「もう精神に干渉されないように防御をかけてある」
ポフとベッドに頭をのせたワンをなでる。
「魅了に気づいたことも、解呪したことも秘密にしたい」
「当然だ。ご主人に再度干渉させはしない」
ワンは、美優がマルセウスの王子達を恐れていると思ったのだが、そうではないらしい。
「今度はこっちが騙してやる」
美優が笑みを浮かべるのが本気度を表している。
「ご主人?」
「魅了なんて卑怯なことをする男なんて、後悔させてやるんだから!」
ハハハ、これは頼もしい、とワンが笑う。
美優はカレンディアを見つめる。
きっと、カレンディアは魅了だけではない、本当に好きだったのだろう。
カレンディアはどう言うだろう。
「もちろん、痛い目に合わせてやりますわ」
遅れて目を覚ましたカレンディアは、戸惑うことなく答えた。
「私はミユウ様以上に大切な人はいませんから。
それに楽しそうですし」
クスクスと笑うカレンディアは、過去に囚われているようには見えない。
「カレンディアは、王太子を庇うかと思った。
信用してないんじゃないの。
ただ・・」
美優が言葉につまるのをカレンディアは首を横に振る。
「王族に嫁ぐ者として教育を受けて来ましたが、婚約を解消された後の教育は受けてません。
好きにさせていただきます。
魅了をして、自分を好きだと分かっている女性の扱いは楽だったのでしょう。私達にも心があるのに」
ぎゅっ、とブランケットを握りしめ、カレンディアが視線を下に落とす。
「ねぇ、魅了にかかったままの振りをしようと思うの」
美優がいたずらっぽくカレンディアに計画を話す。
「それで、王子達が油断しているところで、大嫌いってふってやる。
カレンディアは王太子に言える?」
「もちろんですわ。大嫌いですもの」
大好きで大嫌いなんでしょ? 美優は言葉を飲み込む。
「じゃ、劇的な再会を設定しなくっちゃ。
カレンディアは王太子に後悔させてやるのよ。
こんなに綺麗なカレンディアを無くしたことを知らないなんて、面白いじゃない」
「ミユウ様、私を綺麗なんて」
「この世界に来て会った人の中で1番綺麗なお姫様よ。
王妃様教育も受けているんでしょ?
代わりが簡単にいるなんて、王太子も思ってないと思うな」
私を婚約者にするっていったって、王妃様の仕事は無理だもの。誰だってわかる。
魅了でカレンディアをキープしていると思っているはずだ。
私を殺そうとするほど、王太子を好きだったカレンディア。
「私はあの時、死んだのです」
顔をあげたカレンディアは泣いていなかった。
「ミユウ様の心配は無用ですわ」
泣くどころか笑っていた。
「じゃ、計画はね」
美優はワンを呼びよせ、楽しそうに話し出した。




