表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/89

後宮解散

「陛下、お待ちしてましたわ」

贅を尽くしたドレスを(まと)う美しい令嬢がフランシスにしなだれかかるのを、片手で振り払って、フランシスは令嬢を離した。


フランシスの後ろにはトミーが控え、護衛の騎士も従えている。

それを、ミルドレッドが不思議そうに尋ねる。

「後宮は陛下以外の男性は立ち入り禁止ですのよ?」

美優の事件は箝口令(かんこうれい)が引かれているために、後宮には知らされていない。

侍女が戻ってこないことから、侍女は首尾よく逃げたのだと思っているのだろう。


「すでに後宮は解散すると触れを出してあるはずだ。

何故にまだいる?」

「陛下のお(たわむ)れも、すぐに飽きると思ってましたもの。

こうして来てくださりましたわ」

美優を戯れの遊びと揶揄(やゆ)するミルドレッド。


「ああ、お前を処刑するためにな。

よくもあいつに針を食べさせようとしたな」

フランシスはミルドレッドに触られるのも不快とばかりに、眉をひそめる。

ミルドレッドの方は、哀れをさそうような表情で否定する。

「陛下? 何がですの?」

自分は何も知りません、とミルドレッドは強調する。


フランシスが手を挙げると、待機していた兵がミルドレッドを捕縛する。

「何をするの! 私はマサチュート侯爵家の娘よ!」

ミルドレッドの抵抗など、兵の妨げになるものでもない。

ミルドレッドを助けようとした侍女も縛られ、ミルドレッドと一緒に連行されていく。


フランシスの独裁はすでに知られていたことだったが、後宮にその手がだされることはなかった。

後宮にフランシスの訪れこそなかったが、いつか王の子を育てる場として潤沢な予算が組まれており、不自由はなかった。

それが、後宮の解散と告げられて僅かな日数しかたたない時に、後宮最大権力の令嬢が王の逆鱗に触れ、連れ去られた。


後宮の解散といっても、すぐに出て行く令嬢達ではない。王の子を産む使命を一族から受けている者達だからだ。

王の寵愛を争う場である後宮で、後宮に部屋をいただく女性達に争いがないはずがない。

それを生き残った令嬢達が、簡単に後宮を出て行くことはないが、ミルドレッドの処分を見れば話は別だ。

ミルドレッドが何かしたのだろうと想像がつくが、どの程度の罪をしたのかは分からない。

それでも、ウズデロイド王が処罰するには十分なのだ。


そしてそれは他人事ではない、ここでは王の寵愛を得られない、とそれだけは分かった。

ミルドレッドの部屋の様子を(うかが)っていた他の令嬢達は、後宮を辞する準備を始める為に部屋に戻った。



「陛下」

トミーが部屋の確認をして、侯爵から娘に出された手紙を探し出してきた。

「ずいぶん、無造作に置いてありました」

血統主義を掲げるマサチュート侯爵は、有能ではあるが、代わりがいないではない。



娘に次代の王を産ませたかったのだろうが、野望を持ち過ぎた。

それをフランシスが許すはずもない。

ましてや、美優に危害を加えた時点で、フランシスの逆鱗にふれた。


執務室に現れた美優の情報が手紙には書かれていた。

これを見て、ミルドレッドは凶行に及んだのであろう。

そしてそれは、準備されていたからこそ、急なことにも準備でき侍女に指示をしたのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ