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謁見は王子様がいっぱい

美優は、豪華な謁見室でガチガチに固まっていた。

どうして王様と謁見なんて組まれているの?

っていうか、馬車降りてからまっすぐココにきたんですけどー。

しかも、王様に王妃、王太子様、第2王子のルティンに第3王子まで揃っていて、大臣というのも並んでいるんですけどー!

王太子の名前も第3皇子の名前も聞いたけど、忘れた。一度に覚えられないって。


私が2日かけて(それでも魔獣の馬車は猛スピードでしたけどー)王都に向かう間に連絡がいってた、ということね。


ニナに習った即席のカーテシーをしたけど、プルプルで第3王子がにやついてるのが憎たらしい。

あれって、下半身が強化されてないと膝とか(もも)とか負担半端ないって。

ワンが大きさを仔犬から成犬にして支えてくれたのはさすがイケメン。元の魔術の姿ではなく、犬のボルゾイみたいな姿でカッコいい。銀毛は輝くほどだ。

こいつ進化していないか?

最初は色は違うが、元の魔獣ボックズに似た姿だった。

魔力粒の余剰魔力と言って食べてたから、アレかな?


ワンが大きさを変える時に、王様が驚くよりは嬉しそうに見えたのが、なんか恐い。

これで人間の姿なんて見せたらどうなるんだろう、絶対私の血吸い取られそう。


「ミユウ・ヤマモトといいます。

助けていただきありがとうございました。こちらは連れのワンといいます」

自分でも優雅とは云えないけど、草原でこれからのこと途方にくれていたのを助けてくれたのは間違いないからね。

「ほら、ワンもご挨拶して」

横でふてぶてしく立っているワンに、美優が促すと、仕方ないとばかりにワンが口を開く。

「ワンである。ご主人が世話になる」

「ワン、王様って偉いの!もっとへりくだって」

美優があわてて小声で言うが、静かな謁見室では丸聞こえである。

「俺には、ご主人以外大事なものはないから、人間の事はわからない」

ああ、このセリフをシュエンの姿で言われたい。


「報告を受けていたが、実際に会話をすると凄いな。意志疎通のできる魔物は初めてである。

しかも大人数を転移させたと聞くが」

王様はワンの態度は気にしないようである。


「ああ、あれはご主人がトイレに急いでたからな、緊急だった」

「ワン!!!」

真っ赤になった美優がワンをペチペチと叩くが威力はない。


「素晴らしい。ワン殿と出会えたのは我が国の行幸と言えるでしょう」

王太子が大袈裟な手振りで王に進言する。

「是非とも我が国でゆっくりしていただきたい。ご希望があれば揃えます。

美優姫は、どのような物がお好きですか?」

そう言うと超イケメンの王太子は、ワンに礼をし、美優に近づく。

「お疲れのようですね。

どうか、お部屋にご案内する栄誉をお与えください」

姫!?、どうしよう、こんなイケメンが微笑んでるのよ!

美優が対応に躊躇していると、ルティンが王太子の横に並ぶ。

「兄上はお忙しい。気心のしれた僕が案内しますので」

なに、このモテ期?

「こんな可愛い姫なら、僕もご一緒させて欲しいな」

さらに第3王子まで参戦してきた。


ここまでくると、美優にだってわかる。

疑っては失礼かと思うが、こんなにもてるのも不安になる。

この国は、女性にはこういう国なのかもしれない。

「いえ、大丈夫です。ワンがいますので、ニナに案内してもらえれば十分です」

どうか、ご兄弟仲良くして。などとバカらしい事は言わない。

私のために争わないで、なんて自惚れすぎだろ、と心の中で突っ込みを入れる。


「ワン殿ほど強い護衛はいないでしょうが、どうか紳士として姫を送らせてほしい」

王太子がさあ、と手を出されると断りきれなく手をのせる。

王にも王太子にも、美優がトイレの使い方をも知らなかったと報告を受けている。



黒髪、茶色に近い黒い瞳、可愛い顔だが、美貌というほどでもない。

王太子は微笑みの下で、美優を観察する。

我が国に害となる者か、益となる者か。


ルティンからは伝説の聖獣かもしれないと連絡があったが、自分の目で見てもそうとしか思えない。

魔獣の増加、隣国ウズデロイトの不穏な動き、聖獣が我が国に味方してくれたなら抑止力になる。

なんとしても、この娘をこの国に留めたいと王太子ジェスファーは思う。



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