一難去ってまた一難
当然起こるべく事件が起こった。
カレンディアが取り押さえているのは、ウズデロイド王宮でお茶の用意をしていた侍女。
「責任者を呼びなさい!」
甲高いカレンディアの声が、それだけ切迫しているのだと響く。
その声に、部屋に飛び込んで来たのは、扉の外で警備に当たっていた警備兵。
ワンは、美優に指示を受けて、赤い花の咲く現地に行っていた。
美優こそが見たかったのだが、1輪の花でさえ言葉が頭に響き恐ろしかったのだ。大群となるとどうなるかわからない。
我ながら小心者と思うが、ここは未知の世界、これぐらいで当然と胸を張ったところで、カレンディアが侍女の手を掴んで抑え込んだ。
「プチフールを調べて!
彼女を逃がさないで」
カレンディアは、侍女を警備兵に引き渡すと、他の兵士にお茶に添えられたプチフールを指さした。
兵士はその侍女だけでなく、部屋にいる侍女全てを拘束した。
針の破片とみられる細い金属が数本、プチフールに隠すように突き刺されていた。
すぐに王の執務室に報告が入り、バタバタと大きな足音を立てて、トミーが走って来た。
「まだ、ミユウ様は口にされておりませんでしたが、どうされるおつもりですか?」
抑揚もなくカレンディアがトミーに尋問する様は、美人なだけに迫力がある。
「違う!
その人が自分で仕込んだのよ!
私に罪を擦り付けて!」
兵士に捕獲されている侍女が叫ぶ。
自国の侍女を疑いたくないトミーに、訴えるように侍女は縋るような表情をする。
首を横に振りながら、トミーが言葉を発する。
「これで、君がしたと証明された。
僕が陛下を裏切ることがないのと同じぐらい、この侍女殿は巫女殿を裏切ることはない」
トミーは、兵士に尋問するから牢に連れていけと指示をする。
侍女が独断ですることなどないからだ。
解散する後宮のどちらかの姫が一番怪しい。
これから調べることだが、巫女が現れたのは急なことだったから、これも準備されての事ではないはずだ。
すぐに侍女の背景はわかるだろう。
テーブルに残されたプチフールを見る。
クッキーに小ぶりのマドレーヌ。
割られたマドレーヌの中に針らしきものが光っている。
あれが口に入っていたら、ケガだけで済まないかもしれない。
「大変申し訳ありません。
よくぞ気づいてくれました」
「侍女の表情が気になったので、確信はありませんでした」
それでも、カレンディアは侍女を取り押さえたのだ。
侍女が刃物を持っていたとしても、ひるまなかったろう。
「ビステア様、処分はそちらにお任せしますが、早急に結果をお知らせください。
ミユウ様の安全が第一ですので」
王太子の婚約者だったカレンディアは威厳があった。




