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血の中にあるもの

「だから何?」

美優は顔をあげ、胸をはる。

もうバレてしまったものは、仕方ない。


「いや、確認しただけだ。

ケガは絶対にするな。その血に惑わされる者もでるだろう」

ルティンの頭に浮かぶのは、弟のデイル。

兄のアーノルドは、美優の力を他国に取られないように動いているが、デイルは我が物としようとしている。


ドキン、と美優の胸が跳ねる。

最初に助けてくれたのはルティンだ。

途方にくれた草原に現れた王子様。綺麗な顔で軍で鍛えた身体。

優しい言葉をかけられると、嬉しい。


ルティンも美優の様子を伺う。

王子として生まれ、女性に不自由したことはない。

鬱陶しいと思った時はもあったが、扱いには慣れている。

美優の反応に、満足する。

「旨かった、ご馳走になった。

女性の住まいに遅くまでいるわけにいかない」

ガタン、とルティンは立ち上がりワンを見る。

「頼むぞ」

神獣ワンは、番犬扱いだ。女性ばかりの中で男性の姿をしていても、男性扱いされない。


「殿下、お見送りします」

ニナが背筋を伸ばして、軍の上下関係を表す。

ルティンが外に停めてある馬の元まで、ニナが灯りを持って先導する。



「よくぞ、知らせてくれた。」

ルティンは夜の暗闇の中、灯りに照らされた美しい顔に笑みを浮かべる。

「いえ、殿下のお役にたったのなら・・」

ニナの言葉は途中で途切れた。

ルティンの手が、ニナの頬に添えられたからだ。

「殿下」

下級貴族の娘のニナにとって、王子というのは手の届かない人のはずだった。

砦の警備の任務にあたっていた時に、王子が美優を連れて来たのだ。それまで、王子と言葉を交わしたこともなかった。

それが、美優の護衛となり、一緒に旅をしたのだ。

「これからも、わかっているな?」

ルティンは、優しくニナに確認する。

頬を染めて頷くニナに、ルティンは満足する。


普段、魔力のない美優は、魔力で周りを感知する者には悟られにくい。

灯りに照らし出されたルティンとニナを、美優は夜の闇に隠れて見ていた。

衝撃が無かったとは言わないが、ショックだったのは間違いない。



バカみたい、小山に戻り扉を閉めると、美優の言葉がもれる。

「ご主人?」

ワンは美優の魔力が高まっているのを感じていた。

「ミユウ様? ルティン殿下にお話があって追いかけられたのではなかったのですか?」

カレンディアが、外は冷えたのではとお茶を淹れている。

「話したくなくなったから」

美優の頭に、ルティンとニナの姿が浮かぶ。

ルティンは、魔力狙いとしても自分に気がある素振りであった。それは自惚れではないと、美優は思う。

それと同時に、ニナを手なづけようとする男なのだ。


好きかとかわからない。

でも、信用していたのに。

凄く腹が立つ。女を利用できる道具と思っている。

たしかに顔は凄くいい。

悔しい!


「ミユウ様?」

カレンディアが再び、美優に問いかける。


美優は、じっとカレンディアを見る。美人である、振る舞いも上品で自分とは大違いと思う。

王太子に裏切らたカレンディアは、どれ程辛かったのだろう。


目にものみせてやる。

どうせ、ニナにも本気ではない。

ニナは、それでもいいかもしれないが、自分は許せない。

そして、ニナは美優ではなくルティンを選んだのだとわかった。

美優の苛立ちと共に、魔力は膨れ上がり、カレンディアも気がついていた。


「ミユウ様、お茶がはいりましたよ」

カレンディアに呼ばれて美優は椅子に座る。

ニナが戻ってこない、美優は背中を向けた扉が気になって仕方ない。


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