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巫女の力

迫る王子達の隙間を、ワンに支えられて美優がふらふらとすり抜ける。

出血が多く、足取りもおぼつかないが、王子達は美優の歩み止めないように間を開ける。

手には床から拾った血濡れの剣。

兵達がひきたてようとするカレンディアに近づいていく。


「なんで、こんな男の為に死のうなんてするのよ」

美優は振り上げた短剣をカレンディアの胸に深く刺す。

人間を刺すなんて初めての経験、ズブリと感覚に手が震える。

「死ぬなんて許さない」

美優が発光するように身体が光る。

美優の血で赤く染まっていた剣も、美優の光がのびて、風化するようにポロポロ塵になっていく。


茫然と事態を見ている王子やニナ、兵士達は言葉を発することも出来ない。

剣が完全に塵となって消えた時には、それが魔術というレベルではないと分かっていた。


ゴフ、小さな吐き息が音を部屋に響き、側にいた兵士が信じられないと目を見開く。

ゆっくりと目を開けたのはカレンディア。

「うそだ!! 息は止まっていた!」

うわぁ、と兵士が床に転げるように後ずさる。



息を吹きかえしたカレンディアとは反対に、魔力を使い果たした美優は意識を失くしてワンの腕に倒れ込んだ。

身体を起こしたカレンディアは、王太子アーノルドを見つめたが、直ぐに視線を美優に移す。

「巫女様」



「生き返ったのか、これがミユウの力」

デイルが美優を見る目は輝いている。

「違う、ミユウは普通の女の子だ。

そんな目で見るな!兄上も!」

ルティンが兄弟王子の前に立ち、美優を見るのを(さえぎ)る。

「兄上、僕はすごく興奮してますよ。これがミユウの力。生き返らすなどとあり得ませんよ。

神の力ですよ!」

興奮していると言う通り、デイルの顔も言葉も上気している。


アーノルドがルティンを押しのけ、美優の前に行き、手を差し伸べる。

「ワン、巫女は僕が連れて行こう。彼女は王太子妃になるのだから」

「アーノルド、それがご主人の意志なら従おう。だが、今は確認できない、俺が側にいる」


アーノルドは、神獣に無理を言うことは出来ないと判断し、カレンディアを見る。

「婚約の事は申し訳なく思うが、巫女を傷つけたことは許すことは出来ない」

ピクン、とカレンディアが肩を震わす。

カレンディアは、美優から魔力と共に美優の情報も流れ込んでいた。

ワンが美優の血肉を食べた時と同じように。


「カレンディア・フィアナ・ニードルフは死にました」

カレンディアは目を伏せたが、(まぶた)が震えている。

死にたい程、アーノルドが好きだった。直ぐに無くなる想いではないが、終わったと思う事が出来る。

「今は、巫女に従属です」



「兄上、今はミユウを休ませてやらねば」

ルティンがアーノルドの後ろから声をかけるのを、そうだな、とアーノルドが引き下がる。

「ニナ、ミユウを頼む」

ニナは、寝室に入らずにサロンで待機するようだ。

アーノルド達は、巫女の部屋の警備を厳重にするように指示して、美優の部屋を出て行く。




アーノルドは王の執務室に向かうが、ルティン、ディアはそれぞれの部屋に戻るようだ。

それぞれの思惑が走り出す。



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