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魔獣の研究所

国境を越え、マルセウスに入った美優達は魔術陣を設置している街に向かっていた。

その途中で魔獣に襲われている街を助ける事が出来た。

ワンの一撃で魔獣は一掃できたが、魔獣の消えた後に魔術陣が残っていた。

魔獣が暴れる事で、地面に描かれた魔術陣は消えるはずだったのだろうが、ワンの魔力は一瞬だった為に魔術陣が残っていた。


「今まで、突然魔獣が現れたというのはこれだろう」

ルティンが確認するように、魔術陣の周囲に注意を向ける。

「いまなら、魔術陣の魔術を回想できるかもしれない。来た所に戻れる」

デイルは魔術陣に書き込みをしている。すでに手を加えているようだ。

「そうか、送ってきた元に行けるんだな!」

「何があるかわからない。危険ですよ?」

書き込む手を止めずに、デイルがルティンに肯定する。


「この魔獣は誰かが送り込んでいるってこと?」

美優が、ルティンに確認する。

「魔獣が増えたのは最近なんだ。魔獣が人の近くに現れることが異常と言える。

しかも、魔獣が突然現れたと報告があったから、転移という可能性を言われていた」

ルティンが説明している間に、デイルの魔術陣の書き換えが終わったらしい。


「ニナ、ここに残り魔術陣が消えないように加護してほしい」

魔術騎士のニナにデイルが指示する。

ニナは、お任せください、と頷いて魔術陣を確認する。


「私も行きます」

間を空けずに美優が、私もと手を挙げる。

「危険だ、残るんだ」

ルティンが美優の肩を掴み、顔を覗き込む。

「ミユウは連れて行く、ワンが必要だ。ミユウは僕が守る」

美優の肩に置いたルティンの手をデイルが払う。


ルティンは払われた手で、デイルの手を掴み直す。

「ワンが必要はわかる。ミユウは僕が守る」

ルティンとデイルが睨み合うように雰囲気が悪くなっていくのを、美優が背中を押す。

「ほら、急がないと」

美優の後ろを人型のワンが着いて行く。


魔術陣に入った4人はデイルが魔術の詠唱を始めると消え、ニナは誰もいなくなった魔術陣の脇に待機する。





「誰だ!お前たちは!?」

魔術陣から現れた4人に研究所にいた人間が声をあげるが、ルティンが飛び掛かりすぐに動かなくなった。

「ルティン、動かなくなったけど?」

殺したの?とは恐くて聞けない美優。


「我々の姿を見られるわけにはいかない」

先行するルティンに代わって答えたのはデイルだ。

口には出さないが、時間がかかると美優の危険が増す。


「こっちだ」

美優たちを呼ぶルティンの足元には、数人の男達が倒れている。


籠の中に大量のネズミ。その先には魔術で保存している大きな肉塊があった。

「それは、古竜の肉と呼ばれていた」

ワンが静かに言うのを、ルティンとデイルが驚いている。

「俺は、ここを知っているようだ」

美優が不安そうにワンを見上げると、大丈夫だとばかりに笑みを浮かべる。


「ここは研究所と呼ばれていた。

古竜の肉を与えられたネズミの大半は死ぬが、生き延びたネズミは姿が変わってしまう」

ワンが焼き払った古竜の肉の焦げた匂いが、部屋に充満する。

「それが魔獣として、転移させられるのか?」

デイルの問いかけにワンは答えないが、デイルは確定しているようだった。

それだけではなく、フランシスの魔力も与えられるが、どうでもいい事だ。生き延びたネズミが魔獣となるのは間違いないのだから。


机の上にはウズデロイド語の書類。

それだけで、デイルはウズデロイドの戦略であると確信した。

だからといって、ウズデロイドが非難されるということもない、それが戦争なのだ。

魔獣を作る魔術を持っていることが恐ろしいのだ。

「ワン、僕達が転移するのと同時に爆破できるか?」

何も残さず処理できるか、と聞かれてワンは美優の耳をふさぐ。


「ねぇ、倒れている人達は?」

美優の声は震えている。

ここを爆破すれば、倒れている人は助からない。

「ご主人が許可しないと、俺はしない」

ワンが優先するのは美優だ、デイルの言葉には従わない。

それを知っているからこそ、デイルもルティンも美優が欲しい。


「ミユウ、彼らはすでに死んでいる。ここを残しておくと、新たな魔獣が作られ、街が襲われる。

見たはずだ、子供も女性も魔獣に襲われているのを」

美優に近寄ったデイルが、美優に(さと)すように言う。

ルティンは、ワンと先頭に立ち、他の部屋の確認をしている。

「デイル、言う事はわかる。でも、でも」

美優だって、国民を守らなければいけないと分かっているが、倒れている人達はどうなってもいいから、爆破しようと言えないのだ。

けれど、判断しないといけない、被害が大きくなるだけなのだ。


美優が口を開こうとした時、デイルが先に言葉にした。

「では言葉を変えよう。

僕が爆破するから、美優と転移陣を守れるか?」

デイルの魔術では、転移と同時に爆破ができない。爆破してからの転移になる。

「言われなくとも、ご主人は守る」







「何者かが、研究所に侵入したな。

転移陣の魔術が途切れた」

人をやれ、と王城にいるフランシスはトミーに指示を出す。

そこで見るのは、爆破され破片だけとなった研究所になるのだが。


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