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ケンカの後

「私の為に、こんなケガを」

女の子なら、一度は言ってみたいセリフ。

せっかくのシチュエーション、逃す手はない。


周りの白い視線を受けて、美優は小声で言ったのに地獄耳め、と舌を出す。


相当なケガをしたデイルもフランシスも、治癒魔術で傷を治してしまっていた。


二人とも治癒をかけながら殴り合うので、きりがなく、ワンが獣の姿に戻り二人を引き離した。

しばらくは天を仰いで転がっていたが、どちらともなく立ち上がり、ワンの元に言った。


「これが本体か。

神獣か、なるほど。人型になるとは情報になかったな。

どうして、ウズデロイドに?」

フランシスは、ワンの前に座る。

「体力を使うのは、慣れていないんだ。失礼するよ」


マルセウスから逃げ出して、王子が追いかけてきたとは言えない。

「ご主人が、世界を見たいと言うのでな」

この間言葉を理解したばかりなのに、ワンは語彙も豊富で、言葉使いも上手い。


「神獣か、ならば、俺を魔法陣を使わずに呼ぶほどの魔力も納得ができる。

神獣のご主人とは? まさか、あの貧弱な、」

言いかけてフランシスは言葉を止めた。

騎士に手袋を投げられるわけだ、と理解する。

「失礼した」


「神獣は、マルセウス王国の庇護の元に旅をしている。

それは覚えていてほしい」

デイルが、フランシスの肩に手をやり穏やかに話す。

殴りあって、新密度が上がったと言わんばかりである。

「神獣が呼び寄せた貴方は、かなりのご身分と推察する。

僕よりも年上とお見受けするが、先に名乗ることを許して欲しい。

僕はデイル・マルセウス、神獣のお供をしている」


フランシスは、マルセウスと聞いて、マルセウスの王族かと思ったが、王子が3人いたと思い出す。

「マルセウス王国の王子か。

俺は、フランシス・リー・ウズデロイド」


驚いたデイルが、胸に手をあて騎士の礼を取るのを、美優がボカンと見ている。

「これは、大変ご無礼をしました。僕はマルセウス王国の第3王子です」

ニナも、デイルの様子に気がついたらしく、膝を折り騎士の礼をする。


知識のない美優とワンだけは、事情がわからないが、王子より偉い人とだけは理解した。

国名が名前だから、王族なのだろう。


「ミユウ、こちらはウズデロイド国王陛下です」

ニナがミユウに説明するが、美優はピンとこない。

「ええ!? 本物の王様なの!?」

この王様若いよ、マルセウスの王太子殿下ぐらいに見える、と言葉がでそうな美優である。

しかも、とても失礼な事を言っている。


「貴女が神獣の巫女か」

フランシスは、自分の中にでは確定していることを確認するように問う。

さっき、神獣はご主人と呼んだ。

神獣の巫女ではない、巫女の神獣なのだ。

神獣を手に入れれば、退屈な日々ではなくなるだろうか。

一つ分かっているのは、馬路を転移させてマルセウスの軍を疲労させて準備してきたのが、この神獣の存在で無駄になるということだ。

神獣のいるマルセウスに戦争を仕掛けても勝てない。


魔法陣のない所に転移出来るというならば、暗殺など容易い。

神獣の力があれば、世界など簡単に征服できる。



うわぁ、王様呼んじゃったんだ。

怒られるよね? でも、王様が何故ワンの父親なんだろう?

それに、ウズデロイドの王様って、もっと恐い人かと思ってた。戦争ばかりしてるって聞いていたから。

デイルとケンカしたのだって、急にこんなところに呼ばれたら、私達か裸で水浴びしていたからで。


「なんだ。」

ポツンと呟いた美優の言葉は、皆の耳に届く。

「誰だって、女の子が水浴びしている中に突然呼ばれたら驚くよね。

国王様も、普通の人なんだね。

デイルも守ってくれようとして、ありがとう」

フランシスもデイルも目を見張る。

それぞれが、初めてそんな事言われた、と驚いている。



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