魔獣の国の王
ウズデロイドの王、フランシス。
軍国でありながら、フランシスは軍人ではない。膨大な魔力を持つ謀略の王である。
フランシスは、前王のただ一人の王子として権力を持って生まれてきた。
母は小国の王女であり、父王の正妃であった。
何もかも恵まれたフランシスは、父王が早世したために若くして王位に就いた。
王に即位してからは、近隣諸国を制圧しウズデロイドを巨大な王国に成した。
「その神獣の巫女が気になるな」
玉座にすわり、エメラルドの指輪を撫でる。
フランシスが常に身に着けているそれは、フランシスの母親の形見の石である。
「陛下、マルセウス王国ではどうやって神獣を手にいれたのでしょうか?
今まで、神獣は神話の話でした。
ましてや、巫女等初めて聞きます」
側近のコードレルが報告書を手に話を続ける。
「第2王子がエスコートし、第3王子も側を離れなかったとありますね」
「巫女が神獣を操る術を持っているから、王子を与えた。
そう考えるのが普通だろ?
神獣が手に入るのだ、当然であろう」
マルセウスの王子は、たいそう見目麗しいと聞く。
フランシスの言葉をもっともだ、とコードレルも納得する。
「それと、研究所からも報告が来てます」
コードレルに、フランシスは視線を動かして続けろと促す。
「20匹ほど生き延びたようです」
フランシスは立ち上がると、魔法陣に向かった。
研究所に行くのだと、コードレルが後に続く。
「なぁコードレル。魔獣が作れるんだ、神獣も作れるのかもしらないな」
神獣の魔力の凄さは報告されている、魔獣の魔力とは桁違いだが、フランシスを見るとそうかもしれないとコードレルは思う。
二人の姿は魔術の発令と共に消えた。
「陛下、どうぞこちらを」
机の上に15センチぐらいの茶色の獣が20匹程。
姿は変わってしまっているが、元は拳闘鶏のヒヨコだ。ヒナの時から気が荒い。
フランシスは無造作に1羽というより1匹を掴み上げた。
すでに姿はヒヨコではない。
魔術で保存してある古竜の肉の小片を与えると藻掻き苦しみ、姿異形の姿へと変わる。生き延びる個体が初めて出現した。
フランシスは自分の魔力をそれに与えると苦しみだした。フランシスの魔力が大きく吸収しきれないのだろう。
それを何匹かまとめて魔法陣に放り込むと、魔術が展開しどこかへ転移した。
生き残れば転移先で成長する。
密かに作らされた転移先の魔法陣は他国であり、陣はやがて消えて証拠を残さない。
その獣達も、フランシスの魔力の負荷に耐え切れず1年を生き延びたものはない。
今までは、ネズミで実験していた。古竜の肉を食べて生き延びたものは、さらにフランシスの魔力を与えられて魔法陣に放り込まれる。
その獣はボックズと呼ばれるようになり、各国の街で暴れ人々が亡くなった。
魔獣に襲われた国は、軍が出陣し疲労していく、そこにウズデロイドが進軍し制圧していったのだ。
「今までのネズミより大きな鶏だ。さらに大きな魔獣になり、破壊力も増すだろう。
マルセウスには、ずいぶん獣を送り込んだ。そろそろか」
ウズデロイド王フランシス・リー・ウズデロイド。
「そろそろ戦争しないと退屈で仕方ない」
クックッと笑いながら、指示をだす。
類まれな知能と魔力を持つフランシスは、退屈しのぎに戦争をし、その準備に魔獣を生み出していた。
そして、フランシスもやがて運命に出会う。




