コント『切ないコンビニ』
―――深夜のコンビニにて
ツッコミ「残業で遅くなっちまったな。もう嫁さんも寝てるし、コンビニ弁当でも買って帰るか……あれ? 店員さんが居ない。すみませーん!」
―――タタタタタ
ボケ「はいはい、お待たせ致しました……グスッ」
ツッコミ「あれ? もしかして店員さん泣いてます?」
ボケ「……たった今、彼女から別れを告げられてね……でももう良いんです。終わったことですから」
―――ピッ
ボケ「美味しそうなお弁当400円……私はもう、彼女の手料理すら食べられない……」
―――ピッ
ボケ「コーヒー120円……彼女は甘いコーヒーが好きだった……」
―――ピッ
ボケ「サラダスティック200円……彼女はニンジンが嫌いでね、いつも私の皿へ入れていましたよ……」
ツッコミ「やっぱり、辛いんじゃないですか……?」
ボケ「良いんです。もう昔の話ですから……」
―――ピッ
ボケ「アンパン100円……うっ! ううっ……!!」
ツッコミ「未練たらたらじゃねーか!! 何なんださっきから黙って聞いてればよ!!」
ボケ「暖かい家庭を持つ貴方にはこの苦しみは分かりませんよ。ええ……決して分かり合えませんよ!」
ツッコミ「うわっ、面倒くせぇ奴……!」
―――ピッ
ボケ「食後のプリン120円……彼女の唇はプリンの様にぷるぷるでした。最後にもう一度キスがしたかった……」
ツッコミ「こんな事ならこんなに買うんじゃなかったなぁ……あ、肉まんも下さい」
―――ピッ
ボケ「肉まん120円……彼女の胸は……肉まんの様に……最後にもう一度だけ……」
ツッコミ「今ならまだやり直せるんじゃないですか?」
―――ブブブブブ
ツッコミ「……携帯、鳴ってますよ」
ボケ「……すみません。……あっ! か、彼女から……!!」
ツッコミ「ふふ、やり直せるといいですね」
―――ポチッ
ボケ「もしもし!? 俺だよ! 最後にもう一度だけ!! もう一度だけエッチしよう!? えっ!? あ、待って!! 切らないで―――ああ!!」
―――ガチャ
ボケ「…………」
ツッコミ「かける言葉もねぇよ……」
ボケ「帰ればエッチできる嫁を持つ貴方にはこの苦しみは分かりませんよ! ええ、決して分かり合えませんよ!!」
ツッコミ「何だコイツ。……まぁ、このコーヒーでも飲んで落ち着いて下さいよ」
ボケ「そうやって貴方も彼女みたいに初めは優しくして、最後にはエッチもさせてくれずにゴミみたいに捨てるんだろ!?」
ツッコミ「何で俺がお前とエッチしなきゃならねぇのか誰か説明してくれよ……」
ボケ「世の中はいつもそうだ! 俺みたいな人間は惨めに捨てられる運命なんだ!! ううっ……!」
ツッコミ「……分かったよ。弁当もやるよ」
ボケ「うう! 優しくしないでくれ……!!」
ツッコミ「サラダスティックも要るだろ?」
ボケ「うううっ……!!」
ツッコミ「肉まん……食うか?」
ボケ「プリンも下さい」
―――おわり
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