表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪女物語  作者: ひめりんご
悪女物語
17/259

生徒会 Ⅳ

生徒会室に戻ると皇太子とアレン、ケイジも戻って来ていて険しい顔をしていた。3人に囲まれる様にして座っていたアリスは目に涙を浮かべながら私に謝罪して来た。


「ごめんなさい!私、貴女の迷惑も考えず毎日押しかけて…。」


グスッグスッと泣きながら何度も何度も謝るので私が悪者みたいになってしまった。アリスの周りにいる3人の視線が突き刺さる。アリスに謝罪させるなんてどういうことだと言わんばかりの視線だった。


「あ、えっとその…。」


貴女に迷惑してました、謝罪してくれてありがとうなんて言えないしかといってそんな事ないよ、なんて言ったらもう一人もてなす相手が増えるのだろう?私はどうすればいいのか。


「迷惑だなんてそんな…。」


命大事に。こうなったらもう一人増える方がマシだ!アリスの目がキラキラ輝く。あぁ、もうこれ決定だ…。もう一人増えるんでしょ、はいはいわかりましたよ…。


「でも、エルリカも準備に参加するのでダイヤモンド公爵令嬢の話し相手にはなれませんよ。」


ガブリエルがそう言うと、アリスはあからさまにがっかりしていた。


「ラリマー侯爵令嬢、それはアリスをこの部屋に一人置いておくということか。」


厳しい口調でケイジが尋ねる。


「次からはダイヤモンド公爵令嬢の妹様が一緒に来るのでしょう?なら、一人という事はありませんわ。それに、もてなせというのならご自分の侍女でも連れて来たらいいではありませんか。」


ケイジが口を開く前にアリスが口を開いた。


「そうですよね。エルリカさんとお喋りするのが楽しいからといってエルリカさんと一緒にいたいというのは我儘ですもんね。」


あれのどこがお喋りだ。一方的にそっちがしゃべっているだけだろう。にしても、最後の最後まで私が悪者だという感じは拭えない話し方だった。



******



「エルリカ〜、だずげで〜。」


寮の部屋にやって来たのはサラだった。祖国に帰ったカオルと違い補習を受けるためにサラは学園に残っている。私は補習ではないが生徒会役員として同じく学園に残っているので会いに来てくれたのだろう。同じ場所にいたのにもかかわらず、会うのは久しぶりだ。にしても、会ってすぐ助けを求めるなんて補習はそんなに大変なのだろうか。


「サラ、久しぶり。どうしたの?」


「あの…鬼教官がひどいのよ。」


確か元軍人のスパルタ教師だっけ…。


「勉強が終わるまで、席を立っちゃいけないって…。食事もまともにたべれないのよ!しかも、本当に訓練みたいなことさせられるしでー!!」


その時、ジリリリリリといつもの鐘とは違う音が鳴り響いた。サラは顔を真っ青にして狼狽える。


「あぁー補習の時間だあぁー。」


この鐘の音は補習の時間を知らせる特別なものだったのか。ずっと生徒会室に入り浸りでこの鐘の音を聞くのは初めてだ。


「サラ、大丈夫なの?補習の時間でしょ。」


「エルリカ、そこは大丈夫よ。あんな補習やってられないから、補習受ける生徒全員で逃げ出しているのよ!」


全員で補習をサボっているのか。それにしても大胆なことをする。見つかった後が大変なのは容易に想像がついた。


「オブシディアン家の猿と呼ばれた私を舐めるんじゃないわよーー!!」


そう言うとサラは手を振りながら走り去っていった。その数分後に教師の怒号とサラの悲鳴が聞こえたのは言うまでもない。



******



「会場の装飾が少し足りないです。あと、ここの補強をお願いします。」


私は芸術祭の1番の目玉音楽ホールの装飾の指示を出していた。ガブリエルのおかげで私も芸術祭の準備に参加できるようになった。フローライト学園の芸術祭は国内外問わず多くの注目を集めるビッグイベントでその中でもここ音楽ホールで行う楽器演奏は会場に人が入りきらないほど大人気らしい。生徒がピアノやヴァイオリンを弾いたり、生徒の有志で結成された聖歌隊が合唱したりする。ピアノやヴァイオリンは主に貴族生徒が自分の腕前を披露というか…自慢する為に演奏するが、聖歌隊の方は平民クラスの人がほとんどで貴族は平民と混じって舞台に立つのが嫌だからだそう。その他食べ物を提供するブースでも店員役になるのは平民クラスの人ばかりだ。これは貴族の嗜みの祭典ではなく平民が貴族をもてなす行事だ。


「エルリカも、何か楽器を演奏したらいいですよ。」


「私は出来ないですよ、才能がないんです。」


私は貴族の頃から楽器の才能が皆無だった。ピアノも指の練習曲でとても聞けないような酷い音に変わり、ヴァイオリンも弦が何本切れたことか。その他の楽器に挑戦してみたものの、次々と壊れていった。お父様は私に楽器の才能が無いとわかったのか自然と私に楽器をさせる事は無くなった。


「またまた〜謙遜して…。エルリカの演奏聴きたかったです。」


いやいや、謙遜じゃ無いんですよ。自分で聴いてても駄目なくらい私に楽器は無理だった。


「ガブリエルは何か演奏するんですか?」


「私は…………、いえ、私も何も演奏しませんよ。」


(エルリカが何か演奏するなら私も一緒に舞台に上がろうかな。)


着々と会場の装飾が進んでいる中、私は皇族専用の席に目を向けた。他の席とは一目見て違うとわかる、そこだけ豪華で凝った装飾が成されている。皇太子の席の隣にはまだ婚約者という身分にもかかわらず皇太子妃のような扱いの彼の婚約者の席があった。

やっぱり羨ましいのか。いくら羨んでも、いくら憧れてもその座は私にはやって来ない。彼の目を見ただろう。アリスを庇い私を敵視していた。たとえ100パーセントアリスが悪くも彼の目には100パーセント私が悪く見えるのだろう。そしてアリスが罪を犯してもその罪ごと彼女を受け入れる。それはアリスだからであってアリス以外の誰かなら受け入れないのだろう。それほどまでにアリスは特別。誰の目から見たって特別なのだ。

私は皇后になれる器じゃ無い、お父様の復讐を果たそうとしている。彼女ならそんな事しない。だって心優しい聖女様だから。復讐は何も生まない、意味がない、また新たな恨みを生み出すだけだ、そう言って相手に更生の機会を与えるだろう。それを人々は素晴らしいと称賛するのだ。私は相手を許さない、更生の機会なんて与えない。お父様と同じ苦しみを味わってほしいと願うし、一生苦しむ生き地獄を味わってほしいとも願う。この世で1番残酷な、罰を。己の罪を一生背負う苦しみを。私は残酷な人間なんだ、聖女様みたいに優しさで出来ていない。だから、皇后の座が欲しいと願うのも彼に愛されたいと望むもの私が欲した時点でおこがましいものになる。


「エルリカは演奏をどこで見るのですか?良ければ私と同じ、ラリマー侯爵家の席で見ませんか?」


ガブリエルの誘いは嬉しいのだが、どんな噂が立つかわからない。これ以上いじめがエスカレートするのは避けたいがラリマー侯爵家と繋がりが出来る大チャンス。…………なんだけど、私はこれ以上いじめに耐えられるかわからない。今は夏休みだからないけども。一般席で見ると言え!頑張れエルリカ私なら出来る!


「わぁ…嬉しいです。ご一緒しても宜しいのですか。」


ま…負けた…。そんな目で見ないでガブリエル、利用価値があると思って近づいてる私の心が痛いじゃない。ガブリエルは嬉しそうに顔を輝かせる。


「勿論です!エルリカなら大歓迎!」


ラリマー侯爵家と関われるならいじめのエスカレートなんて…安い。どうせ在学期間は2年なんだから…それまで耐えれば。ガブリエルの笑顔を見てると夏休み明けのいじめのエスカレートの事なんて大した事ないと思えてくるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ