生徒会 I
3日後、試験の結果が廊下に貼り出された。大勢の生徒が結果の前に集まり喜ぶ者、泣き崩れる者様々だった。泣き崩れる者は合格ラインに達しなかったと容易に想像がつくが、結果が上位でも泣き崩れる者もいた。生徒会に入れる上位五人に入れなかったのだろう。
「えーとっ、私は〜。」
先程から自分の名前を探しているが中々見つからない。もしかして合格ラインに達しなかったのだろうか。もっと下位が貼り出されてる方に行った方がいいのか?
「エルリカーーー!!」
サラが大きく手を振りながらこちらに向かって来た。
「すごいわ!学園5位おめでとう!」
「へ?」
上位五人が貼り出される所へ行くと、私の名前は5位の所にあった。上級貴族の生徒の名前に混じって私の名前が…。
嬉しさがこみ上げて来たが、先に結果を知ってしまったなんとも言えない微妙な気持ちになった。
(サラ、なんで先に言っちゃうのよ!)
「ちなみに私は無事、補習決定しました!」
隣にいたサラが泣きそうな顔で言う。補習に当たる教師は元軍人らしく、超スパルタらしい。それはもう、補習授業じゃなくて軍事訓練が始まるんじゃないかって勢いらしい。
「サラ、強く生きて…。」
「エルリカ〜〜〜〜。」
「サラが試験勉強サボったからじゃないの。」
いつのまにか後ろにはカオルが来ていた。カオルは上位五人には入らなかったが学園11位。留学生でこの成績は流石だ。
「カオルも、学園11位おめでとう。」
「ありがとう。」
「二人とも私に順位を分けてーー!」
サラは半泣き状態で懇願する。無論順位を分けることなど出来ない。カオルと共に苦笑する。すると私の目の前に貴族の女子生徒三人がやってきた。何事かと思っていると女子生徒の内一人がこう命令した。
「貴女、貴族でも何でもないくせして生徒会入りなんて図々しいわ。生徒会入り、辞退しなさい。」
「エルリカは成績上位五人に入ってるのよ。生徒会に入る資格はあるわ。」
サラが反論して、カオルもそれに頷く。
「何か不正をしたに決まってるわよ。そうじゃなきゃ上位五人に入れるはずがない。」
「言いがかりをつけるつもり?!」
カオルがカッとなって言い返す。貴族の女子生徒達は高圧的な態度で続ける。
「貴女が辞退すればステファニー様が生徒会入りできるのよ。そもそも貴女が不正を働かなかったらステファニー様が学園5位だったのよ。でも今更試験はやり直せないから不正した責任を取って生徒会を辞退なさい!」
ステファニー?確かステファニー・オキニスという伯爵令嬢が学園6位だったような…。この女子生徒達はステファニー・オキニスの取り巻きか。
「何でエルリカが不正した事になっているのよ!」
サラがそれ以上言おうとした時私はサラの前に手を出し制止した。
「私は不正なんてしていません。貴女方の言い方によるとまだ憶測に過ぎないですよね。確証がないのに言っているんですか。」
「貴女は貴族じゃないのに生徒会に入るなんて…。とっとにかく許されないのですわ!生徒会に入るに相応しいのはステファニー様なのよ!ステファニー様に譲って差し上げなさい!」
ここまで来ると怒りは呆れに変わった。というか笑えてくる。自分達より私の方が成績が良いのが悔しいから私が不正を働いた事にして自分達のボスを生徒会入りさせたかったのか。
「命令よ!」
女子生徒がそう叫ぶ。
「命令?」
「そう、命令よ。ステファニー様に生徒会入りを譲りなさい。名誉なことよ。お前にとってはオキニス伯爵家に恩を売れるいい機会よ。」
確かにオキニス伯爵家は名門だ。皇太子の婚約者候補に挙がったこともある。でも、たかが伯爵家に恩を売るより生徒会に入って上級貴族と関わりを作る方が私にとってメリットが大きい。
「命令とは主人が従者に下すものです。私は貴女方の従者ではないのでその命令には従いかねます。」
「まーだ貴族が抜けないの?お前の家はもうないのよ。罪人の娘が生徒会に入るなんて学園の名に泥を塗っているのよ。ステファニー様に譲ることで学園の名に泥を塗らずにすむんじゃない。」
お父様を罪人呼ばわりされ私も罪人の娘だと言われた。なんという屈辱。怒りがふつふつと湧き上がった。でも今の私には相手を黙らせるほどの権力はない。今はまだ……。
「私は父が罪人だとは思っておりません。必ず父の無罪を証明してみせますわ。そして我がトパーズ公爵家が復興した暁には、貴女方の…いえ、貴女方の一族全員…命はないと思ってくださいね。」
その場にいた全員が凍りついた。誰も瞬き一つ出来ないほど怯えていた。彼女の表情は不気味に笑っていた。まるで物語の悪役のような笑顔は女子生徒達を黙らすのには十分過ぎた。彼女はくるりと向きを変えるとスタスタと歩いて行った。廊下にいた者全員が彼女のために道を開ける。今の彼女には人々に道を開けさせる権力などないというのに。
「トパーズ公爵家は罪人の家なんだから貴族社会に戻って来られるはずない。」
女子生徒達はそう自分に言い聞かせるが、彼女の態度から彼女がふざけて言っているわけではないことはわかりきっていた。
「無罪を証明するったって…。」
それは罪人として処理した帝国に真っ向から対立するということ。帝国への宣戦布告と同じだ。




