第2話 神様ちゃん
「だから、ごめんなさいって言ってるじゃないですかぁ!」
「ごめんで済んだら警察は要らなぁああい!!!」
僕は夢の中で、絶叫していた。
自分の家にタカヒトがいない事を確認した僕は、とりあえず学校に行く事にした。もう1人のタカヒトが居る、もしくは、僕の体がある可能性を思ったからだ。
学校に着き、教室に入ると、今まで感じたことのない独特な視線をじわりと多数感じた。
監視するような、距離を置くような。
きっと、僕も昨日までは、そちら側の人間だったのだのだろう。しかし、この視線をものともしないなんて、タカヒトは一体どう言う人間だったんだ・・・。まあ、他の人の視線を気にして自粛する脳がないからDQNなのか。
それからは、何事も無く1日が終わった。
大人しすぎる僕に不信感を募らせるクラスメイト達は少し可愛そうだったが。
1日学校に居て気がついたが、先生さえも、視線を合わせなかった。廊下ですれ違って会釈しても、微妙な顔をして通り過ぎる。授業中に指されることもない。変に話しかけられても、対応出来なかったから、良かったのだが。
そうして、1日が終わった。
やはり、僕の体も、タカヒトの中身もどこにも居なかった。
監視するような視線の中、何となく動きづらく、歩き回る事をしなかったからなのか。
明日はもう少し、校内を探索すべきかもしれない。
いつもだったら、文芸部に顔を出して、友達とお菓子を食べながら少年誌を交換して、読みあって、時間が来たら一緒に帰って、ゲーセン寄って、話し足りなかったらマック行ったりして。
急に喪失感を感じて、涙が出た。
今まで友達だったのに。つみあげた信頼とか、そういうのが、全部、突然、奪われたんだ。
やってもいない罪ばかりを押し付けられて。
目の前が、ぐらりと揺れる。
渦を巻くように視界がぐにゃりと歪む。
「!お、■■■!夢の世界に、ようこそおいでましました!」
「え?」
見渡すと、真っ白な世界。
さっきまで歩いていた道路ではない。
倒れていたようだ。
起き上がり周りを見ると、人が宙に浮いている。お団子頭の中華風の服を着た女の子。
「うーん、敬語って使った事ないから難しいなー」
女の子は云々言って、腕を組む。
「え、君、誰?僕を知ってるのか?」
声をかけると、女の子は、にぱーっと笑顔になる。
「知ってるよぉ〜!神ちゃんは、神様だからぁ、なぁんでも分かっちゃうンのでぇーすぅ!」
「か、神?」
コクコクと頷く。
「そでーす!実はね、■■■が居ないのは、あたしのせーなの。ごめんね?でも、神ちゃんが直々に謝ったんだから、許しってくれるよンね??」
「な!ど、どういう事だよ!」
声を荒げて、浮いている女の子に摑みかかる。
「あなたをコピーして、タカヒトに上書きしたのはいンだけど、コピーじゃなくて、キリトリだったンだよぉ〜。わらわら」
わらわらの所で、きゃっきゃっと笑う。
「コントロールCじゃなくて、コントロールXをしちゃってたわけ!」
「しかも、その後、保存するじゃないですかぁ。
やっぱり、出来る神ちゃんだと、きちーんと保存しちゃうンよね!」
そしたら、タカヒトの魂にはあなたが上書きされて、で、切り取っちゃったわけだから、結果、あなたの存在が消えちゃったっという事なんです!
私も気づいた時には保存しちゃってるわけですから、もう戻せなかったんですよぉ。一回、この世との通信も切っちゃってて、再度繋いでも、戻せなかったンよ。コントロールZ押してもダメだしぃー」
「そんな、エクセルかワードみたいに言うなよ!」
「でもでも、貴方が1番ふっつーじゃなかったら、選ばなかったんですから、私悪くないと思うんです!」
DQNみたいなこと言ってる。
「なんで、そんな事したんだ?」
「えー?タカヒトがあんまりにもあんまり過ぎて、あんまりだったから?世界システム的にも、バグ認定されてたし。ちょちょーいっと、修復しちゃおって思ってさぁ。適当な人間をコピペしたら、楽じゃんって、思っちゃった☆
でもでも、神ちゃん、良い子なんで、ちゃんとごめなさいしに来たんですよ!えらいー!」
「そんな世界を修復するような大事な事、コピペするにしても、もう少し気を付けてくれよぉ。うう、こんな最低最悪な人間になってしまうなんて・・・」
「まぁまぁ!貴方だったらまた、平々凡々な人に戻れますよ!頑張ってください!あ、じゃあ、そろそろ朝なんで私は帰りますね!じゃ、またー」
え、ちょ、えーーー!!!
宙を書くような感覚。
目を覚まし、体を起こして、回りを見渡す。
タカヒトのベッドの上、どうやら、まだ、この悪夢は続きらしい。
また、ふりだしに戻る。




