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 チーの目の前には、お花の山。

 文字通り、や・ま…。


 



 チーはトリさんに勇気付けられて、今の自分が出来ることをがんばることにした。


 はな、お花をこの人に渡さないと。


 チーは新しい花を出すと、横たわる青年に近づいて行った。

 そーっと、そーっと。


 そして、お花の先で……

 ちょん。


 もう一回つついて、ちょん、思いきって、ぺいっ。

 へろへろ、ぽとん。

 お花を青年に投げた。

 お花、無事着地。

 

 じーっと、じーっと見る。

 とにかく見る。


 青年に特に変化がないのを確認すると、今度はお花を青年の体の上に並べ始めた。

 もちろん、チーは小さすぎてそのままではお花をのせるのは無理。

 背中の羽をパタパタ動かして、飛びながら並べていく。


 チーはお花を食べる時は手のひら位のちょっと大きめの花びらを出すのだか、癒しのときには手のひらのお花を出すことが多い

どちらも効果は変わらないんだろうけど、なんとなく。


 まずは、額、首、胸のあたり、腰、ひざ、足首、手のひら。

 それから、またちょっと様子を見る。


 うん。

 なにやら納得したようだ。

 うんうん頷いて深呼吸。

 スーハースーハー

 それから右手を左手の方に持っていって、横なぎに。


 ふあっさぁー

 お花がチーの手からあふれるように、青年に降りそそぐ。

 ひとつもこぼれることなく、すべて青年の上に。


 チーはお花ひとつひとつ、並べる時は丁寧に置いていたけど。

 こんなにたくさんだからお花さんに任せた。

 

 お花さん、優秀…?

 そういえば、いつもぺいって投げるけど、外したことないなぁ。

 へろへろ、ぽとん、だけどちゃんと着地してる。


 お花さん、ありがと。

 お花さんに感謝。

 チーはぺこりんと礼をした。

 

 それから、青年の顔以外は全部お花でうめてしまう。

 すき間のないくらい、びっしりお花が敷き詰められている。

 上から見ると、素晴らしい出来だった。


 ところが、地面に降りて見たら……なんてこと。

 体の横、横にはお花がなかった。


 上からまんべんなく降らせて、ひとつも落ちてないから仕方ないよね。

 はる?横にもひとつずつ張っちゃう?


 何だか本来の目的とかわすれちゃってるような気もするし、深刻な顔して悩んだのはなんだったんだ、と思ったりもするが。


 迷い人の顔色は先ほどよりは、良くなっているように見える。

 しかし、時おりふるっと体を震わせている。

 まだまだ、足りない。

 足りない。


 こうなったら、することはひとつ!

 大サービス!

 大盤振る舞い!


 そのうち楽しくなっちゃって、踊ってたし、笑ってた。

 きゃっきゃっ、て。

 へんな歌も歌ってたかも。


 ひとりだけど、ひとりじゃなかった。

 お花さんも踊ってた。

 へろへろ、ぽとん、じゃなく。

 ふわふわ、くるりん、だったもんね。

 


 こうやって、お花の山が出来上がったのだった。


 

 ふと、我に返り、トリさんを探す。

 トリさんはその場でまあるくなって、寝てた。

 きっと、待ちくたびれちゃったんだね。


 チーはトリさんにもお花のお山を作ってあげた。

 そうして、とっても幸せな気分で、トリさんが起きるのを待つことにした。


 いつの間にか、迷い人の青年はお花のお山ごと消えていて、後はトリさんとトリさんを待つチーだけになっていたのだった。

 

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