3 ぼくのお仕事
チーが語るとお話しが進まないことに、やっと気づきました。
そして、続きます。
ここは界の狭間
小さな花の精霊が住む森があるところ
精霊も人間もそのほかのなにかも、癒しを求めるものたちがやってくるところ
ここにくれば、かわいい精霊が癒してくれる……かもしれない
木の枝が密集していて鳥の巣のようになったところに、丸っこい青い……いや、みずいろの鳥が止まっている。
その鳥のふわふわの羽が何やら揺れている。
どうやら、小さな花の精霊のお仕事前の一仕事のようだ。
小さな花の精霊ときたら、自分の背中にも羽があるのを時々忘れるらしい。
もっとも、その背中の羽は小さすぎて本人にはほとんど見えず、飛ぶ羽ではなく……なんだろ?飾りじゃない?と思ってるのかもしれない。
だからか、
「この羽さんはぼくじゃないんだ」
と真剣な顔で言うので、トリさんは花の精霊のチーが自分の背中によじ登るのを、毎回根気強く静かに待っている。
振り向いたりすると、焦ってコロリンと後ろに転げたりするからだ。
チーは小さな手や足を不器用に動かして、一生懸命トリさんに乗る。
チーは無言だが、見ていると
「よいしょ、よいしょ」
と言う掛け声が聞こえてきそうだ。
なんとか定位置につくと、座り心地の良いところを探してモゾモゾした後、今度は小さな手でトリさんの背中をもふもふしだす。
チーは
「みだれた羽をととのえているの!」
と大きな声で言ってから次に小さな声で
「もふもふはちょっとだけね」
モジモジしながら言い訳するのがかわいくて、トリさんは
「知ってるよ。もう飛んで大丈夫かい?」
と、知ってるけど知らないふりをする。
目的地まではほんのちょっとで着く。
この世界はたいして大きくないし、チーもトリさんもだいたいの場所の予想がついているからだ。
「あっ」
チーが先に気づいてから、トリさんも気づく。
トリさんの方が遠くがよく見えるのだか、チーは気配の様なものを感じるからだ。
お花畑の中にあるこれまた小さな泉のすぐ側に、誰かが体を横たえている。
たぶん今日のチーのお仕事の人のはずだ。
この世界ではチーは安全なのだと知ってはいたが、トリさんはいつもちょっと離れたところに降りる事にしている。
わざわざ側に降りて相手をおどかす事もないし、こちらも相手を観察することができる。
トリさんが背中に荷物を乗せているとは思えないほど、そっと降りたので気づいていないのか、それとも意識がないのか横たわる人間の男はピクリとも動かない。
そこにパタパタと小さな羽を動かし、チーが横たわる人間に近づいて行った。
人間に集中するあまり、自分の羽で飛んでいることに気づいていないようだ。
無意識に使えるからこそ、自分の羽だとトリさんは思うのに。
しかし、チーは自分で動かした実感がないので、
「羽さんはかってに飛ぶんだ」
という発言になる。
迷い人はこの世界に入って来て、癒されてすぐに自分の世界に帰って行く。
でも、時折それだけでは足りず長くとどまっている迷い人がいる。
チーはそんな迷い人にお花を渡して、お花で癒すのだ。
いつもなら、すぐにお花をぺいっと投げるのに、お花を手に持ったままチーが固まっている。
トリさんはトトトと歩いてチーに近づいた。
続きは早めに投稿します。
ありがとうございました。




